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高島市長!無策なら市財政は破綻します!!(1)
行政
2012年9月28日 12:00
高島市長へ愛の苦言第1回

 「行財政改革実行に対する本気の覚悟はあるのか?」北川正恭福岡市顧問の声が事務方である市幹部へ飛んだ。
 福岡市では2012(平成24)年5月に北川氏を座長とし、大学教授や弁護士、公認会計士ら11名の委員による「自立分権型行財政改革に関する有識者会議」を開催している。これまでの5カ月で計6回の会議が開催され、福岡市の将来を見据えた行政改革の方向性や財政再建のための道筋作りの議論が活発に行なわれている。
 これから5回にわたりこの会議で議論されることによって見えてきた福岡市の課題を検証する。

<「過去の反省がない」と委員>
_f.jpg 「過去の検証はやっているが過去の反省がまったくない」「行政の無謬性だ」「職員のためではなく市民のためにという点が理解されていない」など会議では委員からの厳しい意見が飛び交っている。

 成長都市を標榜する福岡市の人口は今後20年間右肩上がりで増加し2035(平成47)年頃にピークである約160万人に達する見込みである。しかしその実態は今後10年間では生産年齢人口(15歳~64歳)が100万人,年少人口(14歳以下)が20万人でそれぞれほぼ横ばいであり年齢階層別では老年人口のみが増加し、特に75歳以上(後期高齢者)の人口は今後10年間で12万人から19万人と約1.5倍になることが予想されている。人口増加分はほぼ老年人口なのである。

 医療や介護保険にかかる社会保障関係費は364億円(H24)から486億円(H34)と10年間で約1.3倍となる見込みであり、また近年の景気悪化にともなう経済的支援など(扶助費)にかかる社会保障関係費も578億円(H24)から771億円(H34)とこれも10年間で約1.3倍となる見込みである。成長都市福岡市は老年人口の増加にともなう財政的負担を背負うのである。

 加えて、昭和40年代から50年代にかけて、高度経済成長期や政令市移行期に大量の市有建築物が整備されているが、既にこれらの老朽化が始まっており、今後10年の修繕維持費用や更新投資で2,400憶円の必要経費が見込まれている。
 これらを総合的に勘案推計すると、福岡市の財政は非常に厳しい状況にあり、このままの行政運営では今後重要事業の推進や新規投資のために使える財源が枯渇することが予想されているのである。

■福岡市の財政のポイント
◇一般財源の総額はほぼ横ばいで推移するが、(1)少子高齢化の影響を受けて社会保障関係費を中心とした経常的経費の増嵩が続き、加えて、(2)公共施設等の施設の維持保全・長寿命化のための経費(アセットマネジメント 経費)が大幅に増加

◇その結果、重要事業の推進や新規投資のために使える財源は、今後、著しく減少していく見込みであり,仮に、平成24年度と同等の投資水準を維持するには、現在の試算では平成25年度から平成28年度までの4年間で、新たに851億円の財源を確保する必要

◇このままの財政運営では5年後には新規投資がまったく不可能になる

 市当局の説明によれば、他都市に先駆けて民間能力の活用など行政改革に取り組んできた結果、政令指定都市のなかで人口あたり最少の職員数、人件費比率で行政運営を行なっており、もうこれ以上の行財政改革は実施できないとの立場を貫いているが、果たして本当であろうか。

 国より高い水準にある人件費については次回以降に詳細に検討を行なうが、そもそも新規事業が不可能となるほどの財政の硬直化を招いている原因は、まさに職員の人件費や社会保障費等のいわゆる義務的経費と呼ばれる生活費と、過去の借金の返済のための元利金である公債費である。
 バブル崩壊以降、福岡市はユニバーシアード大会や国の大型経済浮揚策を受けて平成5年度以降財源として市の財政力を超える水準の市債発行を増やし、公共工事を行なってきた。一般会計予算7,600億程度の規模にかかわらず1993(平成5)年からの10年間で総額1兆1千億を超える市債を発行し事業を行なっているのである。打ち出の小槌としての地方債の発行により将来推計を無視した過大事業や投資が行なわれた結果、後年度にツケ廻されたこの公債費が毎年度の歳出の大きな負担となっており、歳出の約45%をこれら義務的経費が占めているのである。
 今後の財政運営を考えれば、借金頼みの経営を排し、義務的経費である人件費になんらかの対策を打たなければいけないことは自明の理であるが、市当局の説明は人件費は他市に比べて低いとの説明に終始し、借金経営の原因については闇のままで説明すら行なわれていない。
 冒頭の委員の指摘はまさにこの点にあり、「福岡市が借金を重ねた経営を行ない将来にツケ廻しを行なってきたこと」に対しての「ガバナンス不全の原因」について何ら検証を行なっていないではないかという疑問からであり、この原因をしっかり表に出さない限りはまた同じことを繰り返すのではないかという市当局への不信感が根底にあるのである。

 市は来年度から4年間で計851億円の財源不足、すなわち年間約200億円が不足すると見込むが、その前に前提となる歳出構造や投資予定額について「ゼロベースで見直し」を行なうべきなのである。過去のしがらみや利益誘導団体、議員の圧力に縛られないような行政運営が求められている。

(つづく)
【特別取材班】

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