<今求められる「覚悟」>
――先生の「覚悟」は、先ほどから、現実感を持ってお聞きしています。日本に国会議員は衆議院だけでも480人もいます。どうして皆さんは「覚悟」ができないのですか。
川内 それぞれ、みなさん色々なお考えがあってのことで一概に言えません。しかし、たとえば、「電力が足りない」という役人の発言に右往左往し、それが嘘、ごまかしであっても信用してしまう傾向にはあります。
――多くの国民は「覚悟」のある政治家を求めている。この点をもう少し補足して下さいますか。
川内 「自民党は終わっている」ことは多くの国民が認めるところだと思います。しかし、今自民党の先生方は、民主党がダメだから俺たちの出番だと思っています。これは、順送りを待っているだけであって覚悟ではありません。政権に返り咲いても上手くいくはずがありません。
同様に民主党がなぜ政権を国民から任されたのか。それは、「世のなかを変えて欲しい」という只ひとつのことであったと認識しています。我々は変えようとしました。そして一部は変わりました。しかし、野田政権になり、自公民となり、昔に戻ってしまったのです。何ら変わっていない。国民から言えば、「変えてくれ」と言ったのに、「何をやっているのだ」という話です。
さらに、東日本大震災や福島原発事故を経て、「変えてくれ」から「変えなければダメだ」という確信に変わりました。この大事なときに「何をやっているのだ」という話です。
従来の政治の流れを断ち切って、180度転換する覚悟ができる政治家、政党を国民は求めています。しかしそれは「維新」ではない。彼らには「覚悟」はありません。
――最後に、最近の韓国、中国の動きに関してご意見を聞かせて下さい。
川内 領土問題は高度の外交交渉マターです。この問題を現場レベルに落とし、小競り合いをくり返せば、戦争まで行き着いてしまう可能性があることは最初からわかっていたことです。確信犯でなければ、石原都知事は頭がかなり悪い人だと思っています。煽り立てるだけで現実的な解決策を準備していない。自分の人気とりだけのために、経済界、国民に多大な迷惑がおよぶ行動をすることは首長としても政治家としてもやってはならないことです。本来的にはすべては外交で解決していくべき問題です。
言うべき人が、言うべき時に、言うべき相手に、言うべきことをキチンと言ってきていなかったことは今日の日本外交のアキレス腱になっています。
<後記>
記者は、政治家の発言や表現方法が時には変化し、国民にわかりづらくなることは"よし"としている。それは、世のなかが複雑化している点も大きな理由であるが、一番大きな理由は国民の教養レベルが一定でないからである。しかし、根っこの部分で、国益を損ね、国民を裏切ることは許されないと思っている。その裏切りは、演説の上手さや心地よい文言にカモフラージュされることが多い。ところが、政治家の先生方は教養とは関係なく、"国民の嗅覚は正しく、研ぎ澄まされている"ことには気づいていない。次期総選挙では、民主党にも、自民党にも厳しい審判が下るはずだ。
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(注)「新自由主義」:新自由主義の思想は、個人の自由と尊厳を守るために、私的所有、法の支配、自由市場、自由貿易のような経済的自由が必要であり、このような自由に支えられた社会はより多くの個人を幸福にすると主張し、福祉政策は全体主義に繋がるとして批判する。
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