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「PC遠隔操作事件」における"闇"(後)
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2013年2月20日 07:00

<「ネット社会」にはなく、「現実社会」にはある"国境"!>
img_s2.jpg 今回、片山容疑者が使った「トーア(Tor)」という匿名化ソフトとは、どのようなものなのだろうか。

 これは、「The Onion Router」の略称で、米海軍調査研究所が開発に関わり、民間の技術者が改良したものである。このトーア(Tor)を使うと、発信元へのルートを追跡することがほぼ不可能になる。アクセスログは残っていないし、そもそも経由されたサーバーがどこにあるのかもわからない。ヨーロッパやアメリカのサーバーをいくつも経由していれば、追跡はほぼ不可能なのである。

 専門家は言う。「別に、トーア(Tor)のような匿名化ソフトを使わなくても、多国間を経由させることは設定操作も簡単で、昔からよく行なわれています。これだけで、追跡不可能になってしまうのです」。

 インターネット社会には"国境"はないに等しいのだが、現実社会にはキッチリと"国境"の壁があり、それを乗り越えることができない。アメリカ(FBI)は、サイバー犯罪に関する二国間協定を多くの国と結んでいると言われている。しかし、それでも自由主義陣営が限度だ。

 このトーア(Tor)は、ウェブサイト上で無料配布されているソフトである。誰でも簡単に手に入る。従来は、プライバシー保護やネット検閲を避ける手段として利用されてきた。中国では現在、規制されたネットサービスにアクセスする際に、このトーア(Tor)が使われている。

 さらに話を進めて専門家に聞いてみた。「今回の逮捕の決め手は、トーア(Tor)ではなく、カメラや猫の首のSDカードという状況証拠です。犯人は逃げられないと思いますが、どうして否認しているのですか」と。
 すると、犯人が「自分が操作したのではなく遠隔ウィルスのせいだ」と仮に弁明した場合、そうでないことを証明するのは容易なことではないという。さらに、弁護士も裁判官も検事も、サイバー犯罪の専門家とは限らないので、理解できるように説明するのはさらに大変だという。

 証拠となった携帯電話を販売して証拠隠滅を図ったという報道が、一部にはある。そうなると、逮捕後に立件できる材料をそろえていくことは、大変困難だ。電子データは、素人が消したものはプロが復元できるという話はよく聞くが、プロが消すと完全に100%消えてしまい、絶対に復元できないのである。

 殺人事件でその場の血痕等を消しても、現在の科学捜査技術では"完全"はあり得ない。しかし、デジタル社会では"完全"があるのだ。
 また、デジタル証拠の場合、保管が大変だ。検事のデジタルデータ改竄事件は記憶に新しいが、保管状態によってはその信憑性も問われる。

 最後に、ある専門家が興味ある話をしてくれた。
 「本件は、警察には汚名返上がかかる大変な事件ですが、一般的には威力業務妨害は大きな事件ではありません」。
 「むしろ、今後、恐いのは"模倣犯"なのです。インターネットの犯罪は、どのケースも最初は"愉快犯"から出発し、金銭目的等の"詐欺"になり、最後は"諜報"目的に変化していきます」。

 三菱重工、衆議院、参議院へのサイバー攻撃のように、大きな事件であればあるほど捕まらないのである。ある専門家は、「実は、この種の犯罪は"ノーリスク・ハイリターン"と言えるかもしれないのです」と付け加えている。

 思えば、未曾有の大惨事を引き起こした「原子力発電」も「インターネット」も、アメリカ発であり、イギリスが影のように歩調を合わせている。今、盛んに話題に上る「第五空間」のサイバー安保の多国間枠組みの主役も、アメリカとイギリスである。このことは、何を意味しているのだろうか――。

(了)
【金木 亮憲】

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