中小企業家同友会やライオンズクラブで、歴史に残る功績を残した源音吉氏であったが、予期せぬトラブルから心労がたたり、病を患う。大量に吐血し、体重は20キロ減った。医者もあきらめるほどの大病であったが、奇跡的な復活を遂げる。

　医者からも見放された源氏を救ったのは、「報恩感謝の心」であった。
　「朝、病院の屋上に出て、太陽の光を大きく吸い込み、今生きていることを合唱して感謝しました。大宇宙におわします全知全霊の神様、先祖の恩、父母の恩、師の恩を忘れず、報恩感謝の心に念を入れて生きる。お父さん、お母さん、ありがとうございます。先生ありがとうございます」（源氏）。
　生きているのではなく、生かされていることへの感謝。ありとあらゆるものへの「ありがとう」の念が、辛く苦しい病との戦いに光を差した。

　己の境遇に不平不満を言う若者に源氏は、「今、ここにいるだけでも、あなたは幸せなんですよ」と諭す。不幸と感じさせるのは、幸せに気づかない自分の心。不幸にしているのは自分自身なのだと。すべての栄光を失わせた大病を克服するなかで、源氏があらためて学んだ「報恩感謝の心」の大切さを、１人でも多くの方に伝えたい。病状が改善した源氏は、人脈交流会「大志会」の活動に専念していく。

　13年前、11名のメンバーで始めた「大志会」は、当初、ビジネスマッチングが目的だった。十分に営業の時間がとれない同友会の仲間に、営業のチャンスを与えようとして始まった異業種交流会であった。復帰とともに源氏は、「大志会」を志のある人たちを応援するための人脈交流会に変え、参加者を募る。ただし、同友会の会員やライオンズクラブのメンバーへの勧誘はしない。自分がお世話になった団体に迷惑をかけないというのが源氏のポリシーだからだ。

現在、「大志会」に参加しているメンバーには、ＯＬ、サラリーマン、学生、起業したばかりの若手経営者などの若者が数多く参加している。会の運営は、源氏の友人である政治家や医師、経営者、各種士業のスペシャリストたちが支え、若者たちに惜しみない助言を与えている。毎回複数名で参加する春日市選出の松尾嘉三福岡県議は青少年に「大志を抱け！」というアンビシャス運動を県内で推進。「大志会」で学びを得た人々も、今度は先輩となって後進の育成に取り組む。会場となっているホテルクリオコート博多は、源氏の志に賛同し、協力を惜しまず、毎回、一流シェフが腕によりをかけた料理を振舞う。源氏は、参加者１人ひとりへの気配り・心配りを欠かさず、会は最初から最後まで笑顔が絶えることがない。

　源氏は、「大志会」と並行して、「リーダー塾」「感謝塾」「希望塾」という３つの塾の活動も行なっている。志ある若者たちに、歴史の偉人たちについて語り、「報恩感謝の心」の大切さを伝えている。塾では源氏がビジネスで大切とするスピーチの練習も行なう。テキストは、源氏の愛読書である致知出版社・藤尾秀昭社長の著書「小さな人生論」シリーズ。塾生に同書を朗読させ、その感想や自らの夢について語らせる。人前で話すことで想いは強まり、スピーチの稽古にもなるのだ。それまで内向的であったが、源氏の指導で自信を持ち始め、今では積極的で熱心な営業マンとして活躍している若者もいる。

　人が人を呼び、11名でスタートした大志会には、現在、毎回100名ほどの参加者が集まっている。当然ながら、その成果を評価する人は少なくはない。だが、源氏は言う。「自分で賞賛したい心も湧きますが、それは違います。多くの方々の大きな愛とご支援があったからこそ今があるのです」と。

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