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9兆円市場をめぐる攻防の幕開け~ケンコーコムが国に挑むワケ(前)
健康・医療
2013年11月27日 10:55

 政府は12日、「薬事法および薬剤師法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。これを受けるかたちで、医薬品・健康食品販売をインターネットで展開するケンコーコム(株)(東京オフィス:東京都港区、後藤玄利社長)は同日、2009年2月6日付で公布された厚生労働省の改正省令(第10号)が無効であるとの前提で、薬事法第49条で定められている処方せんが必要な医療用医薬品をインターネットでも販売できる権利の確認を求める訴訟を、東京地方裁判所に提起した。いよいよ攻防戦の本丸とされていた、9兆円規模といわれる医療用医薬品市場をめぐる決戦の幕が切って落とされた。

<「98%開放」は錯覚>
一般用医薬品(OTC薬)のインターネット販売規制をめぐる動き 2013年1月11日の最高裁による違憲判決以来、一般用医薬品(OTC薬)のインターネット等による販売をめぐり、解禁賛成派と反対派の激しい攻防が繰り広げられてきた。2月から5月まで、厚労省が事務局を務めるかたちで11回にわたって開催された「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」では、賛成派と反対派が正面衝突した。規制緩和の利害をまともにかぶるネット解禁賛成派と反対派を代表する業界人が委員として選出されているなか、対立が先鋭化し、検討会が紛糾するのは無理のないことだった。
 それでも、規制改革会議の後押しを受けるなか、一部の医薬品の禁止を条件としながらも、一般用医薬品(OTC薬)のうち98%がネットで販売することができるようになった。マスコミ各社はそのことを大々的に報じた。

 それに対して、「マスコミはだまされた。国民もだまされた」と異議を唱えるのは、今年の1月に国を相手に最高裁判決で勝利したケンコーコム(株)の後藤玄利社長である。11月12日に政府が国会に提出した改正薬事法案には、98%のOTC薬を開放する条文と抱き合わせで、「医療用医薬品は対面販売に限る」とする条文が「こっそりもぐり込ませてある」(後藤社長)というのだ。「誰にも気づかれないようにというのが、厚労省の願いだろうと思うが、多くの人にそうではないことをわかってもらいたい」と同氏は先日都内で開かれたパネルディスカッションで述べた。「安倍首相も気づいてくれたら、世の中も変わると思う」と――。

<処方せん薬のネット販売禁止は改正省令が初>
 ケンコーコムによる今回の新たな提訴が、OTC薬のすべてをネット解禁とせずに、その一部を禁止としたことに対する提訴ではなく、処方せん薬のネット販売にある点を意外に感じた読者もいたことと思う。そもそも、処方せん薬のネット販売は禁止されていたのではないかとの錯覚を抱いている関係者も案外少なくないのではないか。

 じつは、処方せん薬もOTC薬と同様、ネット販売(郵便等販売)が禁止とされたのは、2009年2月6日付で公布された厚労省の改正省令第10号が最初のことなのである。つまり、OTC薬のネットによる販売を禁止した同省令が憲法違反とされたことにより、処方せん薬についても同様の判決が下される可能性はある。すでに海外では、患者を診察した医師が患者に対して処方せんを交付し、その処方せんを患者が郵送や電子メールで薬局に送付、薬局は電子メール等で服薬指導を行なって医薬品を患者宅に郵送するというシステムが先行しているのである。

 しかし、改正省令第10号では処方せん医薬品の販売は「対面にかぎる」としている。政府は医療用医薬品に最も近い第1類OTC薬28品目のネット販売に制限を設けることで、医療用医薬品のネット販売を禁止した。そのどさくさ紛れの対応に対し、ケンコーコムは裁判という法的手段に訴えた。後藤社長をそこまで駆り立てるものは何なのか――。

(つづく)
【田代 宏】
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