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受け継がれる聖地~宮地嶽神社(4)
社会
2014年4月 4日 14:50

 前回、奥の宮第3番社「不動神社」を紹介した際や、前々回の本殿の黄金の屋根のくだりでも少し触れたが、今回は宮地嶽神社の地に眠る「横穴式石室古墳」について、もう少し詳しく触れてみよう。

 こちらの「横穴式石室古墳」は1741年(寛保元年)、宮地嶽の山崩れによって初めてその口を開けた。当時、村人たちや修験道者たちはこの古墳のあまりの見事さに畏敬驚愕し、1747年(延享4年)に、この石室内に霊験あらたかなる不動明王を祀るようになったとされている。この山麓一帯にはおよそ5~7世紀頃に栄えた大古墳群があり、堂々たるその威容が遠望されるが、この古墳は全長約23mという全国最大級の石室となっており、高さ幅とも5mを超す巨石を積み重ねてつくられている。
 また、この古墳からは馬具や刀装具、緑に輝く瑠璃玉やガラス板など、およそ300点にもおよぶ宝物が出土しており、そのためにこの石室古墳はとりわけ「地下の正倉院」とも言われている。出土した宝物から、この石室は6世紀末から7世紀始めのものと推察されており、2005年3月に国の指定史跡となった。

不動神社内部。この奥が石室になる石室内に不動明王を祀っている

 なお、ここから出土した宝物のうち20点が国宝に指定されているが、そのごく一部を紹介する。

<金銅製鞍橋覆輪金具>
金銅製鞍橋覆輪金具 鞍橋(くらぼね)とは、木製の鞍の骨組みをなす部分のことを指す。この「金銅製鞍橋覆輪金具」の前後両輪には鍍金が施されており、強靭流麗な唐草でデザインされた龍紋が彫刻され、小さな蓮紋様が配せられている。この遺物が作成された当時からすると、かなりの権力と財力をもってつくられたことがうかがえる逸品。

<宝冠>
宝冠.jpg 「金銅製龍虎紋様透かし彫り天冠」とされるこの宝冠は、残念ながら保存形状が悪く、周囲を膠(にかわ)で固め保存されている。この紋様などから推察するに、前出の鞍(馬具)と対にて制作されたものだと考えられている。なお、我が国では数個の天冠があるが、そのなかでもかなり秀逸な作品。

<金銅製壷鐙>
金銅製壷鐙.jpg この「金銅製壷鐙」は一級品の国宝であり、保存状態も最高のものとなっている。純金で彫金されたこの鐙(あぶみ)は袋状をしており、長方形の吊り金具が取り付けられた忍冬紋様が施されている。また、踏み込みには銀歯状の凹凸がつくられているうえ、滑り止めの細工まで施されている。なお、同様の品は法隆寺・正倉院にも所蔵されており、中国六朝時代の作と考えられている。

 この宮地嶽の地に、大和の大貴族にも肩を並べるほどの富と権威とを象徴する全国最大級の石室古墳が築かれたことや、数々の宝物が発見されたことから、大和朝廷勢力と深い関わりを持った地方豪族のかつての繁栄と伝承が偲ばれる。また、それが起源となり、神霊あらたかなる神々が鎮座する聖地として、この宮地嶽神社の神聖性が古代から現代まで受け継がれているのだ。

● ● ●

 4回にわたって宮地嶽神社について紹介してきたが、まだまだ紹介しきれていないことはたくさんある。

正月には毎年多くの参拝客がつめかける たとえば宮地嶽神社は、ここ福岡では太宰府天満宮や筥崎宮とともに、「三社参り」でお参りする神社としても有名である。筆者も昔から毎年訪れているが、正月の初詣の時期には例年多くの参拝客がつめかけ、近隣の道路が大渋滞するほど。正月三が日で訪れる参拝客の数は、100万人以上にもおよぶという。

 ちょうどきょう4日からは、国家の隆昌・皇室の安泰を祈念するとともに、皆の健康と五穀豊穣をお祈りする「春季大祭」が3日間にわたって斎行されている。これに合わせて「桜花(さくら)まつり」としてさまざまなイベントも催されており、宮地嶽神社は春の装いに包まれている。
 また、5月31日から6月中旬にかけて開催される「菖蒲まつり」では、境内の至るところで九州随一の100種10万株の江戸菖蒲が咲き乱れ、参拝客を驚かせている。宮地嶽神社のこの季節の風物詩とも言える催し物だ。
菖蒲まつりの様子 ほかにも、緋桜野点や夏季大祭、秋季大祭など、四季折々でさまざまな催し物が行なわれているほか、毎月1日の午前零時から斎行される「ついたち参り」も、新しい月の家内安全・商売繁昌・無病息災をお祈りする多くの参拝客で賑わいを見せている。
 「何事にも打ち勝つ開運の神」として多くの参拝客が訪れる宮地嶽神社だが、ときにはこういった催し物を目当てに足を運んでみるのもいいだろう。

 最後に、よく日本人は、宗教への信仰心が薄い国民性だと言われる。だが、現在でも正月には多くの人々が初詣のために神社に足を運ぶし、子どもの七五三詣や受験祈願、安産祈願など、節目節目に神社を訪れる習慣は我々の生活のなかに根付いている。筆者が思うに、神社にお参りをするということは、そこに祀られている神さまを通じ、自らの心のうちとも向き合うということではないか。神聖な境内の空気のなかで身も心も清められ、神さまと向き合い祈りを捧げる。その瞬間は、自分の本当に素直な気持ちが発露されているように思われるのだ。忙しい日常生活を送るなかで、ふと心が疲れたときなど、たまには神社に足を運んでみるのもいいのではないだろうか――。

宮地嶽神社

(了)
【坂田 憲治】

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・宮地嶽神社HP


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