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濱口和久「本気の安保論」

尖閣諸島を第2のクリミヤにするな!
濱口和久「本気の安保論」
2014年4月23日 14:13
拓殖大学客員教授 濱口 和久

 ジョセフ・ナイ・ハーバード大教授(元米国防次官補)は、時事通信のインタビューで、ロシアによるウクライナ南部クリミヤの編入に関連して、「米国に防衛義務がある沖縄県・尖閣諸島とクリミヤ半島ではまったく情勢が違う」ことを4月24日の日米首脳会談で確認すべきと主張した。

<那覇に警戒機飛行隊を配備>
 防衛省統合幕僚監部は4月9日、領空侵犯のおそれがある中国機に航空自衛隊が緊急発進(スクランブル)した回数が、平成25年度は前年度の306回から109回増加し、415回であったと発表した。防衛省は平成13年度から国別のスクランブル回数を公表しているが、中国機への回数は前年度に続き、過去最高を更新した。

 以上のような情勢のなか、防衛省は4月20日、航空自衛隊那覇基地(沖縄県那覇市)に早期警戒機E2Cを常駐配備した。これまでは三沢基地(青森県三沢市)に配備されているE2Cが、必要に応じて南西諸島の領空侵犯に備えていた。那覇基地に配備することによって、警戒監視能力の強化が期待されている。現在、航空自衛隊はE2Cを13機保有しているが、今回、那覇基地には4機を配備した。飛行隊は約60人で発足し、26年度末には約130人体制に規模を拡大する予定だ。

<対領空侵犯措置の厳しい現実>
sea_6.jpg 日本は自衛隊法第84条に基づき、航空自衛隊は国籍不明機による領空侵犯に備えて、日本全国に7個の戦闘航空団を展開している。そして常に4機を待機させ、領空侵犯の一報と同時に2機1組となり、5分以内にスクランブル発進ができる24時間の警戒態勢を敷いている。
 また、高速で飛来する軍用機に対して、領空を実際に侵犯してから対応するのでは遅すぎるため、独自に防空識別圏を設置し、識別不明機が防空識別圏に接近し始めた時点でスクランブル発進準備が下令されている。

 現行の自衛隊法では、領空侵犯機に対して「強制着陸」か「強制退去」しか認められていないため、警告に応じない領空侵犯機を撃墜することはできない。
 自衛隊機が武器を使用し、その結果として領空侵犯機を撃墜できるケースは、「正当防衛」と「緊急避難」に限定されている。そのためスクランブル発進した2機のうちのどちらかが撃墜されることも覚悟しながらの任務に日々就いている。

 昭和62(1987)年12月9日、ソ連の偵察機Tu16が沖縄本島上空に侵入し、2度にわたって領空侵犯を行なった。この時、初めて航空自衛隊のF4ファントムが20ミリ機関銃で警告射撃を行なった。この領空侵犯事案の4年前には、ロシア領空に侵入した大韓航空機が、ソ連の戦闘機に撃墜されるという事件(大韓航空機撃墜事件)が発生している。
 この2つの事案を比較すると、領空侵犯機に対する日本とソ連の対応の違いが一目でわかる。当時、大韓航空機撃墜事件は日本国民に強い衝撃を与えたが、警告や強制措置に従わない領空侵犯機に対して、民間機でも撃墜を辞さないというのが、本来の対領空侵犯措置である。

<下地島空港の活用を>
 宮古島に隣接する下地島には先島諸島では唯一の3,000メートルの滑走路を持つ空港がある。下地島空港は沖縄本島と中国大陸の中間の位置にあり、尖閣諸島にも近く、戦闘機や輸送機の運用にも支障のない規模だ。那覇基地からでは八重山地方は中国大陸よりも遠く有事対応が現実的でなく、自衛隊機の下地島空港使用については、日本政府内でも議論されている。

 自衛隊による下地島空港の使用が可能になれば、自衛隊機の東シナ海での作戦行動範囲が格段に広がるだけでなく、補給中継施設としても非常に重要な拠点となるだろう。また那覇空港は、民間航空機との共同使用(軍民共用)であり、今後、緊急時の対応に支障をきたすことも予想される。下地島空港に自衛隊機を分散配備することは、緊急時のリスク回避だけでなく、対中国(対ロシアも含む)への抑止効果にもなる。

<尖閣諸島のクリミヤ化を防ぐために>
 中国は平成24(2012)年から尖閣諸島を「中国の核心的利益」とする主張を始めた。「核心的利益」とは、 中国の安全保障問題のなかで譲歩できない国家利益を意味する。台湾、チベット、新疆ウィグルのほか、東南アジア諸国などとの領有権争いを抱える南シナ海も対象としている。

 すでに中国は、下線を引いた地域や海を〝中国化〟している状態だ。まさに今回のロシアによるクリミヤ併合(編入)と同じ行動を取ってきた。中国にとって、尖閣諸島は太平洋に進出するためには、絶対に必要な戦略上の島嶼(島々)であり、本気で奪いにくるのは時間の問題だろう。中国による尖閣諸島のクリミヤ化を防ぐためにも、日本は国家の意思として、南西諸島防衛の強化(整備)を目に見える形で行なわなければならない。

<プロフィール>
hamaguti_p.jpg濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。現在は、日本防災士機構認証研修機関の(株)防災士研修センター常務取締役。著書に、『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)、「だれが日本の領土を守るのか?」(たちばな出版)。11月25日には、夕刊フジに連載中の企画をまとめた『探訪 日本の名城 上-戦国武将と出会う旅』(青林堂)を発売。公式HPはコチラ


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