＜不退転の志が開花した＞
　2006年７月にHS（ホームサニテーション）事業部門において、特定商取引法の違反行為が発覚した。内容は、不実告知、勧誘目的等不明示、迷惑勧誘、判断力不足者契約、適合性原則違反勧誘とされた。「シロアリに食われている」などと虚偽の説明をして駆除工事などの勧誘、認知症の高齢者らに契約を結ばせたり、しつこく勧誘したりする違法行為などであった。これにより、経済産業省から３カ月間にわたり６店舗の業務停止という行政処分を受けた。当時、同法による業務停止は上場会社では初のケース。この不祥事のダメージは大きく、07年３月期から業績が急落。10年３月期の売上高は245億3,931万円（連結）とピーク時の50％以下に下落した。人員削減や支店・営業所の統廃合、北九州市門司区のプラスチックの再資源化工場の売却など経営合理化を進めたが、宗政代表以下全社一丸となっても、存亡の危機から抜け出せずにいた。

　そのようななか、太陽光発電システム事業に同社の命運を賭けて取り組み、同社は見事に復活した。13年３月期の売上高は433億円（連結）にまで回復。太陽光発電システム関連（産業用、卸売、住宅用）の売上高は売上全体の約40％を占める。また環境資源開発事業は売上全体の34.5％に達し、静脈産業が必ず必要とされるという不退転の志の経営が開花した。そして14年３月期の売上高843億円（連結）と驚異的な躍進を遂げた。同社の強引な営業手法や社員の入れ替りの激しさがフォーカスされるなか、宗政代表のぶれない経営方針を具現化したことで、同社再建の道筋が明確になった。累積赤字の37億円も解消される見込みである。

＜メーカーとしての役割＞
　「現在の市場動向から見ると、サニックスの1,000億円の売上高は今期内で達成するであろう。武雄市に太陽光発電用機器の製造工場を新設し14年８月に稼動をスタートさせると表明している。太陽光発電システムにおいて、自社で施工も行なう"メーカー"としての機能を強化していくことが鍵となるだろう。武雄市の新工場は新規雇用70名を予定しており、地域経済への活性化にも貢献する。産業用の太陽光発電事業は、シロアリ防除の事業とは営業の単価が違う。最低でも1,000万円単位。億単位の規模もある。問い合わせや見積の依頼が常時舞い込んでおり、シロアリ防除時代の営業スタイルは不要とのこと。誠実な活動を実践すれば、念願の1,000億円の売上高は間違いないだろう」（仕入先関係者）
環境資源開発事業も産業廃棄物の有効再生活用、廃棄物の受け入れ体制が強化されるなど生産性の向上により、同社の業績の中枢を担う。

　同社が「再生可能エネルギー」と「廃棄物を確実に処理して地球に還す静脈産業」と掲げるように、エネルギー分野が同社のキーファクターとなっている。これらの事業構築に集中すれば、同社は安定的な業績を確保できる。課題は社内体制。「相変わらず社員の入社と退職が多い。昔のように毎日営業マンが、所属長に夜中まで営業数値を詰められ追い込まれるような事象はさすがになくなってきているが、数字至上主義の傾向はまだ残っている。社員が本当にやりがいをもって良い提案をできる環境を提供することが、サニックスには必要」（仕入先関係者）
　同社のシンボルスポーツであるラグビー部の『福岡サニックスブルース』が、今期日本ラグビー界の最高峰『ジャパンラグビートップリーグ』に復帰した。その良き流れで、同社の更なる事業展開が注目される。

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