<柔軟な発想と行動力>
(株)栄住産業の本社オフィスは、常時活気に満ちている。顧客などからの問い合わせの応対、数多く往来する来客の接客・商談・打ち合わせ。図面づくりなど各人がそれぞれの持ち場で、明るい笑顔で仕事を行なっているのが印象的である。全社一丸で『屋上緑化・屋上庭園で新時代の健康住空間を提供すること』をコンセプトに、我が国の屋根を変える『屋根の革命』に邁進している。同社の言葉を借りると『天空の楽園』である同社の屋上緑化・庭園が、我が国の住宅の屋根に1つでも多く広がればという思いで、顧客の笑顔を想像しながら仕事を進めている。
同社の創業者で現代表である宇都正行氏は、従来の木造住宅の概念にはない、屋根の下屋箇所をバルコニーに仕立て、空間を有効活用する――屋根をフラットにし、そしてバルコニーを金属防水するという工法の代理店になった。まだ世の中にないものの販売はたしかに難しかったが、試行錯誤のうえに販売方法を構築した。そして「施主が『遊び』のスペースを設けることで、より充実した住まいを創造することができる。そのような技術とサービスを持てば、地場工務店様の繁栄のお役に立てる」という一心で、営業活動を展開し続けた。
それが同社の屋上緑化・庭園事業のルーツであるバルコニーの金属防水技術─現在の同社ブランドである『スカイプロムナード』は、当時は業界の常識を覆す発想であった。それは、耐久性・防水力に優れたステンレス・鋼板に表面保護膜加工を施し、建物の揺れなどに対応できる『オープンジョイント工法』を用いるなど、確たる技術と品質の裏付けが宇都代表にはあった。
だが、同社の黎明期は戸建て住宅の『常識』である勾配屋根から水平=フラットな屋根に変えるという発想は、ほとんど受け入れられなかった。「勾配屋根でも雨漏りをする。水平などにしたらどうなるか。あり得ない」など、とくに社歴の長い工務店には、強い拒絶反応を示されたと宇都代表は振り返る。それでも、宇都代表は自らを信じ、バルコニーのある家がどんなにお施主さまのためになるか、故に営業の方々が新築の受注が簡単になることと不退転の意志で、工務店にその将来性を説いた。その結果、当時若い世代の工務店の経営者が同社の金属防水の技術とフラットの屋根に注目し始めて、受注が出始めた。その採用したビルダーから、フラットな屋根に対する賞賛の声が出て、支持し採用する工務店が増加し高い評価と信頼を築いていったのである。
それでも最初はなかなか大変で、取り組み始めて約8年の年月を要して軌道に乗り始めた。フラットな屋根という発想、宇都代表の固定概念にとらわれない、柔軟な発想と切り口、そしてたゆまない技術の研究開発を重ね、丁寧に工務店を回る想像を絶する行動力が生み出した結晶である。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:宇都 正行
所在地:福岡市東区原田3-5-6
設 立:1976年2月
資本金:9,800万円
TEL:092-622-6292
URL:http://www.eijyu.co.jp/
<PRESIDENT PROFILE>
宇都 正行(うと・まさゆき)
1944年7月25日、鹿児島市生まれ。68年3月、鹿児島経済大学卒業。卒業してすぐ牛乳屋をやるも倒産。その後、東京に出て借金を返済後、75年9月に栄住産業を個人創業。76年2月に法人改組し、(有)栄住産業を設立。89年2月に株式改組。経営理念は『工務店のお役立ち』。趣味は、ゴルフ・旅行。
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