ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

連載コラム

【連載】苦境を打開できるか 心血注ぐべきは地場経済への貢献(5) 岩崎グループ | 企業研究
連載コラム
2008年6月 9日 09:39

離島航路を巡る覇権争い

 岩崎グループは現在、多数の裁判案件を抱えており、「東京の弁護団を雇い、鹿児島常駐も1〜2名はいる」、「芳太郎氏は法律に明るい」と聞かれるほど、裁判には力を入れている。数々の訴訟案件のなかでも、鹿児島−種子島・屋久島航路の高速船事業における、ライバル・市丸グループとの覇権争いがひとつの焦点であろう。

 最初の問題は、鹿児島−種子島間航路で起きた。鹿児島の離島航路の場合、「乗客200人、乗用車20台」以上の輸送が許可条件となっているため、高速船「トッピー」を運航する岩崎(鹿児島商船(株)が運営)は、九州客船(株)が運航する「フェリー出島」に貨物輸送を委託していた。


 そこに高速船「ロケット」を運航する市丸のコスモライン(株)が、高速船事業への新規参入を発表。市丸側は「新造船を買うつもりはなかった」(市丸関係者)ようだが、結局はフェリーを新造。これにより、九州客船の貨物船が撤退し、今度は岩崎側が基準違反となってしまった。最後は、岩崎が中古フェリーを購入したことで落ち着いたようだが、このときから離島航路を巡る覇権争いが激しくなる。

 05年9月、今度は鹿児島−屋久島航路において、フェリー「屋久島2」を運航する折田汽船(株)(会社更生中)が鹿児島商船(岩崎)との共同運航協定を破棄し、市丸と共同運航を始めるとしたため、岩崎が折田を提訴。岩崎は折田との協定の有効性確認を鹿児島地裁に求め、また市丸と折田の共同運航計画の変更および留保を国土交通省に申請した。

 一連の訴訟について市丸側は、「岩崎にとって種子島・屋久島航路はドル箱だから、船舶権利を死守しようということだろう。ただ、我々が新規参入をしたのは、需要が大きくて利用者の予約がとれない状況だったから。社長が種子島出身だったこともあり、地元のためという思いがあった」とのこと。

 この問題は、岩崎によるコスモラインと折田への訴訟(東京地裁に対し、高速船運賃が独占禁止法に違反した不当廉売だとして、運賃の差し止めと約14億6,000万円の賠償を求めた訴え)というかたちに発展。「いわさきICカードなどを使えば、実質の運賃は岩崎の方が安いはず」とは市丸側の話。結局は、今年4月16日に岩崎側が申し立てを取り下げ、一応沈静化したかに見えた。

つづく


※記事へのご意見はこちら

連載コラム一覧
連載コラム
2012年11月27日 07:00
連載コラム
2012年11月26日 15:53
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル