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環境問題で自動車に乗れなくなるか(後)~優さんコラム(6)
連載コラム
2012年7月 6日 07:00

<誰が電気自動車を殺したか>
0706_Think_1.jpg 今、ノルウェーにきていて、ここでは電気自動車をたくさん見かける。「叫び」で有名なムンクの美術館に来ても無料の充電スタンドがあって、そこにはノルウェー製の新たな電気自動車がつながっていた。艶消しのような赤い色が不思議で触ってみたら、プラスチックでできていた。日本でも静岡県で実験されているNTN社の電気自動車は、電動モーターが各タイヤのホイールに格納されていて、車体の中にはバッテリーしか置かれていない。燃費も抜群で、これからの自動車の形を示している。

0706_NTN.jpg しかしこのことを嫌うのが、従来からエンジン技術を競ってきた自動車メーカーと石油業界だ。電気自動車の走行距離が200キロ弱しかないというが、一般車の1日平均の走行距離は40キロ程度だ。充電に時間がかかるというが、1日の走行時間は平均で1時間もない。特に困ることはないのだ。それは1990年代のカリフォルニアでも実証されていた。セカンドカーのつもりで買った電気自動車が、結局毎日の足になる。静かで走行コストが安くて、それで足りてしまうからだ。遠出の時だけガソリン車を使えばいいだけだ。そしてカリフォルニアでは電気自動車の予約リストには数千人が並んだ。

 しかしアメリカでは電気自動車が潰された。リース契約だったおかげで全部が回収され、文字通り叩き潰されてしまった。このことは「誰が電気自動車を殺したか」というドキュメンタリー映画にまとめられている。そのとき叩き潰したのはアメリカメーカーだけでなく、日本のトヨタ、ホンダも同じだった。すでに技術はあるのだ。目の前に優れた技術があるのに、なぜ使うことができないのか。石油業界や自動車メーカーの利益のために、私たちは未来をあきらめなければならないのか。

 自動車が家電製品の一つになっても何も困らない。困るのは自らの利権のために、優れた技術を使わせない産業界だ。クルマは走ればいい。轟音は要らないのだ。

【田中 優】

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<プロフィール>
_tanakasi_p.jpg 田中 優 (たなか ゆう)
1957年東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などの、さまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」「天然住宅バンク」理事長、「日本国際ボランティアセンター」 「足温ネット」理事、「ap bank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の 非常勤講師。『シリーズいますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー①~③』(岩崎書店)、『原発に頼らない社会へ』( 武田ランダムハウス)など、著書多数。


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