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「地域活性化ってどうすればいい?」~優さんコラム(2)
連載コラム
2012年5月11日 07:00

<お金だけが「経済」ではない>
sora_12.jpg イサーン(タイ)の小さな地域の人々は、「市」を始めるようになってから徐々に借金を返済できるようになった。それどころか人によっては貯金すらできる余裕も生まれた。

 市が始まった当初、人々は恥ずかしがって参加しなかった。子どもとおばあさんだけが参加して楽しんでいた。しかし買い物に来ていた母親が次に参加するようになり、その収入が父親を超えるようになると、お父さんも参加するようになっていった。ばつの悪いお父さんたちは、参加するとトントンカンカン、ローカルマーケットそのものを建てた。

 こういうことはさすがにお父さんたちの特技だ。周囲の地域も朝市を真似るようになり、各地でおカネが回る仕組みができていった。しかし問題も起こる。バンコクから来ているバイヤーが市に参加しようとしたり、農薬を使いすぎている生産者が入ろうとしたりする。それを断るための約束事も彼ら自身で作っていった。
 
 「援助」とは、終わるべきものだ。自分たちで暮らせるようになること、それが目的なのだから。同じ地域に長く支援活動していること自体が疑問だ。ここでは地域の人たち自身が活動を始めていき、JVCの支援活動は不要になったので撤退した。

 私はこのJVCの活動は、賞賛すべき支援活動だと思う。そこだけではない。JVCはベトナムからも撤退している。そのときは地域の人たち自身が「合鴨農法」や「水牛銀行」を起こしてやれるようになっていった。

 しかしベトナムでは合鴨よりもアヒルの方が気候に合っていた。彼ら自身がアヒル農法を編み出していった。「水牛銀行」といってもカネは貸さない。水牛のつがいを貸して子牛を生むと、一頭を残して水牛を返してもらう銀行だ。私自身、ヤギ銀行の立ち上げに立ち会ったことがある。彼らは自分たちの村の貧しくて困っている人を知っていて、「あの人に貸すことから始めよう」と話し合っていた。
 これこそが経済ではないか。おカネだけが経済ではないのだ。

(つづく)
【田中 優】

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<プロフィール>
_tanakasi_p.jpg 田中 優 (たなか ゆう)
1957年東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などの、さまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」「天然住宅バンク」理事長、「日本国際ボランティアセンター」 「足温ネット」理事、「ap bank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の 非常勤講師。『シリーズいますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー①~③』(岩崎書店)、『原発に頼らない社会へ』( 武田ランダムハウス)など、著書多数。


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