この二人がこのところ熱い関心と期待を寄せているのが、中国の電気自動車メーカーBYDである。最近、国連が主催した気候変動対策サミットにおいても明確に打ち出されたように、世界の環境やエネルギー問題の克服にとって中国がどのような対応策を講じるかが極めて重要になってきている。胡錦濤国家主席は温室効果ガスの削減に向けて様々な取り組みを約束してはいるが、具体的な削減目標を明らかにしていない。とは言え、国内の環境エネルギー対策にこれまで以上に真剣な姿勢を見せ始めた。
そんな中、広東省に本社を構える電池メーカーから自動車メーカーに転身しつつあるBYDがバフェット氏とマンガー氏のアンテナに引っかかった。2008年9月、バフェット氏はこのBYDに対して2億3,000万ドルを投入し、同社の株式約10%を取得したのである。それまでバフェット氏は、海外企業に対する投資には極めて慎重な姿勢を保ってきた。ところが、最も信頼する共同経営者のマンガー氏から「BYDこそ中国と世界の未来を変える可能性の高いトップ企業だ」と報告を受け、バフェット氏は世界の投資家が皆驚くような投資判断を下したのである。
BYDはBuild Your Dreams の略称である。マンガー氏に言わせれば「創業社長の王伝福氏はGEの中興の祖といわれたジャック・ウエルチ氏と発明王トーマス・エジソンを合体させたような人物」とのこと。1995年に設立された若い会社であるが、現在すでにリチウムイオン電池のシェアーでは世界第2位の地位を占め、特に携帯向けに関しては世界第1位に躍進しているほどだ。従業員は13万人を超え、生産拠点もハンガリー、ルーマニア、インドへと拡大中である。
設立当時、リチウムイオン電池は日本企業のシェアーが圧倒的に大きかったが、王社長は生産工程を徹底的に細分化し、コアな設備だけを自社開発した。それ以外はすべて中国の安価な労働力を使うという戦術で生産コストを4割以上も削減したのである。1997年に起きたアジアの通貨危機がきっかけとなり価格競争の波が押し寄せた機会をとらえ、三洋や松下など日本企業を追い抜き、瞬く間に世界ナンバー1に躍り出た。
【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】

国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。
ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊はオバマ新政権の環境エネルギー戦略と日本への影響を分析した『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)。近刊には『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。
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