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未来トレンド分析シリーズ

世界を飲み込む水危機と中国 日本の切り札「水技術」(6)
未来トレンド分析シリーズ
2011年2月 2日 07:00

 アメリカのCIAは、すでに2001年の段階で世界の水不足に関する予測を発表していた。その報告書によれば、「2015年までに世界人口のほぼ半分はウォーターストレス症状に直面する」というものであった。すなわち、11億の人々は十分な水が手に入らない状況になり、26億もの人々は衛生的な水環境からほど遠い生活を余儀なくされることになるというのである。

 その後、国際連合でも水に関する予測を公表しているが、「2025年までに30億人の人々が清潔な水が手に入らない状況に直面する」と分析していた。さらにOECDがまとめた予測では「2030年までに世界人口の半分が極端な水不足に直面する」というではないか。こうした報告書の予測や分析を見る限り、地球上の水不足の問題は急速に悪化していることが明らかと言えよう。

中国の水 世界最大の人口を擁する中国は、水の不足と悪化汚染により、国家の基盤が揺らぎ始めている。主要600都市のうち半分以上の360都市において、深刻な水不足が日常化している。そのうち、とくに100の大都市においては、住民の生命に危険が及ぶほどの水不足が生じているという。中国国内の河川の80%以上は汚染が深刻で、魚介類が絶滅しているほど。いずれも、中国の環境研究機関が公にしているデータである。

 中国の政府機関である環境保護省の大臣を務めるチー・カーピン氏に言わせれば、「中国の水が養うことのできる最適の人口は6億5,000万人である」という。言い換えれば、13億を超えたと言われる中国の人口の半分以上の人々は、もとから十分な水が得られない環境に置かれているわけだ。世界4大文明発祥の源、黄河では1985年以来、断流化現象が起きている。チベット高原から流れ出る水が渤海湾まで到達できず、途中で干上がってしまうのである。

 こうした状況が放置されれば、中国人の間には政府に対する不信感や怒りの感情すら爆発しかねないであろう。中国の数少ない環境NGO「グローバル・ビレッジ」に寄れば、「水こそ中国最大の環境問題」とのこと。日本はじめアメリカも、ヨーロッパ諸国も、中国経済にさまざまなかたちで依存しており、こうした水問題が中国の社会を内部から突き崩すことになれば、その影響は計り知れない。

(つづく)

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。


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