中小企業が持つきめ細やかなサービスをもとに緑化事業を展開する(株)栄住産業・宇都正行代表と、数多くのデザイン建築を手がけ、エネルギーの地産地消を・佐藤俊郎氏。さまざまな分野で活躍する2人に、環境をテーマにしたこれからの地域社会の安らぎとともに、エネルギーの安定化などについて語ってもらった。
<都市計画プランを含めた地域おこしを進める>
佐藤 以前、審議会のメンバーで「街づくり基本条例」などに参加しました。
とくに糸島地区の場合、「九大生が、糸島のどこに住むのか」が最大の問題になっています。九大は郊外に移転しましたが、長期的な観点から見ると、東京の大学は逆に都心に戻っています。これは、いかんともしがたいことです。今さら「九大は都市に戻れ」などとは言えませんから、発想の転換によって、移転したことをプラスに持っていかなければなりません。そうすると「学生たちが地域の方々とどう共生するのか」「業者は学生向けの住宅をどのようなかたちでつくるのか」ということが、非常に重要になるのではないでしょうか。
たとえば、東広島でこういう失敗例がありました。地場の農家が自分たちの土地に、「これから小遣い銭稼げるバイ」と、質の良くないプレハブで学生向きのアパートを作ったのです。しかし、これらには学生が入居せず、最悪の結果となりました。農家の思いと学生の思いに、大きな隔たりがあったからです。
糸島の場合はこれを教訓にして、「農家と学生が、いかに仲良く暮らしていけるか」というような住宅の仕組みを考えていかなければなりません。それこそ、「土日には農家の仕事を手伝う代わりに、美味しいものが食べられる」といったように、田舎に住む理由をつくることが大事です。大学に通う4年間のなかで農作業を手伝い農業を少し覚えたなど、都市で自慢することもできます。
このように、地域と密着した学生のライフワークをつくらないかぎり、大学を糸島に移転した意味はないと思います。
<発想の転換で雨漏りゼロへ>
宇都 太陽光を本格的に手がけるようになったきっかけは、「お絵かきボード」というものを工務店に提案したことからです。建設工事で出てしまう建築端材を再利用できないかと試行錯誤し、家のなかに張り付ける磁石を使ったボードを開発しました。
そのようななかで、昨年テレビで「太陽光パネルを屋根に穴を開けて設置したけれど、屋根から雨水が漏れてしまった」というようなことが放映されていました。そのときに、太陽光パネルとお絵かきボードのイメージが合致しました。「磁石を太陽光パネルに取り付ければ、穴を開けなくて済むから、雨漏りも怖くない」―と。
そこからさらに開発研究を行ない、施工を始めました。さらに、3月に東日本大震災が起こったことで、太陽光発電に注目が集まり始めました。太陽光発電と並行して、磁石で取り付けることがクローズアップされたのです。
佐藤 設置に使われる磁石の磁力は、反永久的なのでしょうか。
宇都 10~20年後になると2~3%ほど能力は落ちてしまいますが、それでも問題ないほどの高い性能を持っています。現場に合わせてさまざまなかたちがありますから、太陽光パネルをどこにでも取り付けることが可能となりました。
<プロフィール>
宇都 正行(うと・まさゆき)
1944年、鹿児島市生まれ。68年、鹿児島経済大学卒業後、父の経営する「宇都建設」に入社。75年、「栄住産業」を個人創業し、76年に有限法人化。79年、福岡市に本社移転。87年、株式会社に改組し、代表取締役に就任した。趣味はゴルフと旅行。
<プロフィール>
佐藤 俊郎(さとう・としろう)
1953年生まれ、九州芸術工科大学、UCLA(カリフォルニア大学)修士課程修了。アメリカで12年の建築・都市計画の実務を経て、92年に帰国。「株式会社環境デザイン機構」を設立し、現在に至る。「NPO FUKUOKAデザインリーグ」理事、「福岡デザイン専門学校」理事なども務める。
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