住民自治・地域自治による「オール参加型の地域経営」を実現していくためには、地方自治体の意識改革が不可欠であり、そのためには、やはり地方自治法の抜本改正などにより、国のかたちを変える地域主権改革を実現しなければなりません。
明治維新以降、富国強兵、殖産興業のスローガンの下で、西洋に追いつけ追い越せとのいう右肩上がりの時期や、先の大戦からの早期復興を果たしてきた高度経済成長期においては、スピーディーで効率的な公共投資に資する中央集権体制は、有効に機能してまいりました。
しかし、現在の成熟社会においては、中央集権制度は、地域ごとに抱える事情を踏まえたきめ細かな政策展開を阻み、「ストロー現象」と言われるように、人とお金を東京に吸い上げ、一極集中を強化させる、地方を疲弊させる要因ともなっています。
また、地域主権改革を実現することによって、道路や福祉施設など公共施設への投資に関して、霞ヶ関が机上で決めた補助要件に縛られている現状を脱却し、地域で真に必要なものを臨機応変に投資していくこと可能になり、無駄をなくすこともでき、それにより捻出した財源でさらなる公共投資を行なうこともできるようになります。
つまり、地域主権改革の実現は、地方が権限と財源をつかみ取ることにより、地域の活力を取り戻し、日本全体の閉塞感を打ち破るための、喫緊の課題となっているのです。
大阪や名古屋における地域政党の躍進や、とくに昨年(2011年)秋の大阪府知事・大阪市長のダブル選挙における「大阪維新の会」の勝利は、「大阪都構想」という、地方から国の形を変えていくという地域主権改革に対して、有権者から大きな期待が寄せられた結果であると考えられます。
この福岡においても、昨年11月には、福岡県議会を中心に「九州の自立を考える会」が立ち上がり、本年(12年)1月には地域主権型道州制国民会議の九州政治家連盟が立ち上がりました。
この九州政治家連盟は、全九州から民主党、自民党、みんなの党など超党派の地方議員が参加し、その数は約90人に近い人数にのぼります。大きなうねりが起こり始めています。
また、福岡市は、玄海原発に近い大都市であり、国の原子力行政により、多くの市民の生活が大きな影響を受けます。原子力発電の問題に本気で向き合わないと、本当の「安全で安心な社会」は実現しない。国民の命を真剣に守っていくことができません。
福岡市は、玄海原発でもしもの時は、風向き、風の強さ次第では、1時間半もかからずに放射能が到達する地域です。
玄海原発から60km圏内には、148万人の福岡市民のうち、143万人(約97%)が生活しているという分析もあります。にもかかわらず、玄海原発の再稼動に関しては、糸島市や福岡市の同意は必要とされていないというのが、現在の法制度の実態です。
みんなの党は、「脱原発・発送電分離・電力自由化」のアジェンダを掲げていますが、地域がしっかり力を持ち、地域の声を反映させ、市民の命と生活を本気で守ろうと決意すれば、この問題についても、やはり、国の法律を変えていかなければなりません。
<プロフィール>
寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制係長などを歴任し、2010年8月に退職し、行政書士事務所を開業。市在職中、「日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化」「日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生」「日本初の『移動権(交通権)』の理念に立脚した議員提案条例の制定支援」に携わる。2011年4月の福岡市議会議員選挙(西区)で、みんなの党公認候補として初当選。市議5名で新たに発足した同党福岡市議団の副代表兼幹事長に就任。12年2月、同党衆議院福岡県第3区支部長に就任。次期衆院選の同党立候補予定者として注目を集めている。
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