＜政界再編の起爆剤となるのか、維新の会？＞
３月頃をメドに石原新党の結成に向けての動きがあったが、結局、結成には至らなかった。そうなれば、俄然、橋下ブームに乗った維新の会が、次の総選挙ではマスコミの注目を集めるに違いない。
当初、石原慎太郎東京都知事は橋下大阪市長との連携を頭に入れながら新党構想を考えていたようだ。しかし橋本氏は石原氏との連携は考えておらず、現在、みんなの党との連携を前提に、次の総選挙の候補者擁立作業を進めている。
このまま民主党、自民党の支持率が伸び悩み続ければ、漁夫の利で維新の会が躍進する可能性は非常に大きい。１００人前後の当選者を出せば、間違いなく政界再編のキャスティングボードを握ることになる。
しかし、このとき注意すべきことがある。民主党１回議員のようなサラリーマン的思考の議員を大量に当選させれば、歳費を貰うだけの議員集団に成り下がってしまう恐れがあるということだ。
維新塾には学生、サラリーマン、主婦、官僚、地方議員など多種多様な人材が応募をしている。このなかから次の総選挙の候補者が選ばれていくのだろが、真に国家・国民のために働く気がある人材のみを擁立するべきである。
数合わせのような擁立を行なえば、過去、何度も誕生しては消えていった新党と同じように、早晩、維新の会も国民から見捨てられることになるだろう。
＜維新の会版「船中八策」は日本を変えるのか＞
日本で最初にマニフェストという言葉を使用したのは民主党である。先の総選挙で、民主党はバラマキのオンパレードの政策をマニフェストに掲げて圧勝した。ほとんどの政策が実現されず、もしくは縮小されたため、いまや民主党は、狼少年と言われても文句が言えない状態である。
維新の会版「船中八策」は、政界のなかで賛否両論の意見が巻き起こっている。最終的には有権者である国民が判断するわけであり、既成政党が判断するわけではない。
日本全体が何となく元気がないなか、維新の会の動きは、時代の要請かもしれない。維新の会は粗削りの面もあるが、既成政党がだらしないために、まともに見えてしまう。
時代のスピードに対応できない政党は、賞味期限切れの食品と同じだ。国民は変化を期待している。次の総選挙は日本の将来を占う上でも、今まで以上に重要な選挙となる。
＜プロフィール＞
濱口 和久 （はまぐち かずひさ）
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、現在、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年３月に竹島に本籍を移す。『思城居（おもしろい）』（東京コラボ）、『祖国を誇りに思う心』（ハーベスト出版）などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。 公式HPはコチラ。
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