24日、（株）ベスト電器（福岡市博多区、小野浩司社長）の某直営店において、約360名分の個人情報が第三者に流出したとする情報が、匿名希望の関係者から提供された。それによれば、従業員の個人携帯から、顧客から許可なく取得した個人情報（氏名、電話番号、メールアドレスなど）が漏えいする事故が発生し、社内に対し「些細な流出・漏えい事故でも、プライバシーマーク認定取得が遠のきます」という注意喚起があったという。

　このことについて同社経営企画部について問い合わせたところ、「どのような情報かは情報所持者に迷惑がかかるため言えないが、たしかに今月上旬、そうした問題は起こった」と、担当者は事実関係をほぼ認めた。そのうえで、「アドレスの入力ミスで特定の１人に誤って情報を送ってしまったと報告があった。こうした問題が起こった場合は経済産業省に報告する義務があるので、社内協議を経てすぐに報告した」とコメント。

　情報提供者は「（この事故は）大変なことだが、ベスト電器は対外的な発表はしていない。コンプライアンス問題としてはいかがと思い、投稿した。東証一部企業としては問題がある内容だと感じる」という思いから、当社に情報を寄せてくれた。

　これに対し同社担当者は、「今回は"情報漏えいが不特定多数ではない（＝第三者は1人だけ）""漏えい先に依頼し情報は即時削除され、悪用される懸念がない"という理由から、経済産業省の基準と照らし合わせて対外発表はせず、社内の注意喚起というかたちにとどめた」としている。

　なお、今月13日に発表された2012年3月期決算短信には「個人情報保護法の施行に伴い、当社グループとしての基本方針、情報管理規程に則り、情報管理委員会を設置し、顧客情報の保護に努めており、当連結会計年度末まで情報流出は発生しておりません」と表記されており、その記載との整合性について尋ねたところ「たしかにこれまで、そうした問題は起こったことがなかった。今回の件は、ちょうど決算短信をつくった頃に問題が発生し、書き直す時間がなかった」と同社担当者はコメントしている。

　こうした事案を公表する、しないはその企業の自由なのかもしれないが、仮にもベスト電器は東証一部上場企業である。やはり事実を公表すべき事案であると感じるし、コーポレート・ガバナンスを含め、もう少し緊張感を持つ必要があるのではないだろうか。「責任ある対応をしないと、いつまでも我が社は顧客離れが加速していきそうで残念」と思っている関係者もいることを、改めて認識しておくべきだろう。

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