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濱口和久「本気の安保論」

自衛隊の厳しい現実を見極めよ(後)
濱口和久「本気の安保論」
2012年6月12日 07:00
日本政策研究センター研究員 濱口 和久

<国防の死角>
0621_sousakunotameni.jpg 軍事ジャーナリスト清谷信一氏は著書『国防の死角』(PHP研究所)のなかで、東日本大震災を通じて垣間見えた自衛隊の問題点の本質を次のように指摘している。

 日本国民は東日本大震災で、巨大地震、津波、そして原子力発電所の事故という「有事」を経験した。この大震災で、現場の部隊、個々の隊員たちは献身的に任務を遂行したが、彼らを支える体制が整っておらず、交代要員、装備品の不足や性能など、多くの問題が逆に露呈した。

 具体的には、自衛隊の「兵隊」は定員の4割強しかいない。何百億円もかけて開発・調達された偵察用無人ヘリが1度も飛ばなかった。無線機の数および能力が不足していたために通信がままならなかった。夜間作業などに必要な懐中電灯なども隊員が自前で用意。燃料の不足、などなど。

 この原因は自衛隊の体制が「平時」を想定しており、戦時や、戦時に匹敵する大規模災害といった「有事」を想定していないことに起因する。自衛隊は体制が整っていたら、さらに多くの被災者を救えた可能性があった。組織のマイナス部分を、現場の隊員が必死でカバーしているのである。

<最後は国民にツケがまわる>
 清谷氏の指摘する問題は、自衛隊だけの責任ではない。軍事を普段から真剣に考えてこなかった政治家に一番の責任がある。
 さらに言えば、国防をつねに他人事として軽視してきた日本国民にも責任の一端があることを自覚しなければならない。
このような状態が今後も続けば、戦争や首都直下地震といった国難に際して、自衛隊だけではなく、日本国民が大きな代償を払うことになるだろう。

(了)

≪ (前) | 

<プロフィール>
hamaguti_p.jpg濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。今年3月31日付でテイケイ株式会社を退職し、日本防災士機構認証研修機関の株式会社防災士研修センター常務取締役に就任した。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。5月31日に新刊「だれが日本の領土を守るのか?」(たちばな出版)が発売された。 公式HPはコチラ


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