<比例代表の要素を強める>
小選挙区制は、どうしても立候補者を多く抱えることのできる大きな政党に有利になる。成田教授は、小選挙区で多くの当選者を出した政党は、比例代表では、議席を控除して配分される「連用制」を提唱している。
地域代表と、政党への配分をどのようにバランスを取るかなど課題は多いが、参議院を政党、政策を中心に選ぶシステムにすることで、より多党化させ、民意を伝えやすくする。政権を狙える政党が、いくつか存在することで、党利よりも政策を重視するように仕向ける。成田教授は「政策テーマによって、マジョリティを形成できる。政策を中心にして、マジョリティを形成できるので、決められない政治を打開できる」と、政策本位の政治の実現を考えている。
<改革に乗り出すには国民的議論も必要>
選挙制度を実際に改革に持っていくには、どういう手順を踏まなければならないのか。選挙制度審議会で審議し、最終的には国会で決めることになる。
『1票の格差を少なくするために比例の要素を強めるほうがいい』などの一定の合意ができた上で、選挙制度審議会にはかることが必要になってくる。「1994年の改革では、国会議員の間でも、ある程度の合意ができていた。政治が方向性を持って、国民的な議論が高まっていき、合意ができれば具体案を審議会で検討して、改革に乗り出すということになる。現行の選挙制度は問題を抱えているという認識は出てきている」と成田教授は分析する。
現実的に選挙制度を変えていくには、踏むべき手順を踏まなければならない。「現行の選挙制度はねじれを生むなど問題が多いのでは!?」「そろそろグローバルな視野でよりよい政治を作るためにアップデートするべきなのでは?!」などという国民的な議論をしてもいい時期かもしれない。
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