5日、日本維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事が示した、次期衆院選における各都道府県1区への候補者擁立の方針が波紋を呼んでいる。同方針は、他党との連携を問わず、比例選挙をふまえて各都道府県の「中心」とする第1選挙区(以下、1区)に必ず日本維新の会の候補者を擁立するというもの。現在、福岡県には、いまだ第3極の候補者が現れていない選挙区があるが、福岡1区では、同党が連携へ向けて協議を進めている、みんなの党の公認候補予定者が存在する。
福岡市博多区のJR博多駅前で3日に街頭演説を行なった、みんなの党の渡辺喜美代表は、記者の質問に対して、日本維新の会の候補予定者が明らかになるまで、新たな公認候補の擁立を進めない考えを示した。両党の選挙区調整を視野に入れての判断である。
そもそも何を根拠に1区を「中心」とするのかが腑に落ちない。
たとえば、福岡県の場合、直近の選挙である2011年4月10日執行の福岡県知事選では、有権者数が1区(福岡市博多区、東区)の38万4,861人よりも2区(福岡市城南区、中央区、南区)の43万886人の方が上回っている。その差は4万6,025人。福岡2区の方の有権者数が多いことは、地元の政治関係者なら誰でも知っている。
また、都市機能の面でも、福岡県の1区に含まれる博多区と2区に含まれる中央区はともに商業施設やオフィスビルが集積しており、単純に「博多区がある1区が中心」と言うことは難しい。
よもや道州制を見据えた地方分権型国家を目指す政党が、地方の実情も考慮せず、全国一律的に「1区が中心」とすることはないはず。徹底的なリサーチをふまえた選挙戦略、それとも〝別のねらい〟があるのではないだろうか。
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