九州大学は25日、同大六本松キャンパス跡地約6.5ヘクタールについて、独立行政法人都市再生機構（ＵＲ）に一括して売却することを正式決定した。今後、文部科学省に認可申請を行い、来年度に売却、引き渡す方針。
ＵＲへの売却については、福岡市が「まちづくりの観点からＵＲを売却先にしてほしい」と要請、九大は市の意向に沿って売却先を決めた。九大はほかに売却先を検討していない。
市の要請に従う理由について九大は、「国立大学時代からまちづくりについては福岡市とやってきた。それを踏まえて跡地は市のまちづくりの方針に任せることにした」と話している。
同キャンパスは、来年４月までに伊都キャンパスに移する。大学は来年度中にＵＲに土地を売却、引き渡すことになる。その後の土地利用については、市や県、大学、地元住民代表らで構成する「跡地利用計画策定委員会」が、地下鉄に面する北側に商業施設や住居、南側に裁判所などを整備していく跡地利用計画をまとめている。
六本松キャンパス跡地は、こども病院の有力な移転候補地に挙げられていた。市の中心にあって地下鉄駅前とアクセスが良く、敷地も十分に広いことから、こども病院の患者家族や市民らからの要望が強かった。
昨日24日のこども病院人工島移転のための土地購入案可決、そして、きょうの六本松キャンパス跡地の売却先決定。「出来レース」のにおいがプンプンしている。
福岡市役所の隠蔽体質 こどもの命より人工島が大事（下）
セアカゴケグモの毒性公表せず！
福岡市のホームページ上には、毒性の強い「セアカゴケグモ」について、25日現在も極めて不十分な情報しか掲載されていない。人工島内「アイランドシティ中央公園」での発見事例について、24日午後２時の時点で、市保健福祉局の恒吉理事が「情報を出さないのはおかしい」と認め、担当職員に指示するとしていたが、いまだに何の訂正もない。
恒吉理事と話をしたあと、担当職員に香椎地区での発見情報しか掲載していないのはおかしいと、同じ指摘をしてみたが、「おいおいとやっていくつもりでした」とふざけた返事が返ってきた。市民の安全を守るという意識はゼロに等しい。
恒吉理事との問答で、最もかみ合わなかったのは、セアカゴケグモの毒性についての公表の有無だ。同理事にセアカゴケグモの毒性について尋ねたところ「国内では重症化した事例はない」という的外れな言葉が返ってきた。毒性があるのかないのかについて聞いているだとして、大阪府などが公表している、平成18年にマウスを使った毒性試験報告の写しの一部や、他の自治体の公表事例を示した。
その上で、「乳幼児や高齢者が咬まれた場合、重症化することが明らかである。他の自治体のように、福岡市民にも、セアカゴケグモの毒性について、きちんと公表すべきである。こども病院の移転決定を控え、隠蔽しているのではないか」と追及した。理事は、何も話せなくなってしまった。
さらに「行政の不作為で万が一被害が出たら、責任は誰が取るのか」と聞いてみたが、これに対しても何の回答もなかった。回答がないというより、絶句して言葉が出てこないのである。それでも、人工島にこども病院を作るというのだから、あいた口がふさがらない。
最後まで毒性について、きちんと広報するという回答はもらえなかった。なぜ全国のセアカゴケグモ発見自治体が行なっている「毒性についての説明」に拒絶反応を示すのだろう。
答えはひとつしかない。
こども病院人工島移転は、24日の市議会本会議で、市民の反対を押し切るかたちで正式に決まった。
セアカゴケグモは人工島の「アイランドシティ中央公園」で見つかっている。同公園は、こども病院が建設される用地の真横に位置し、同病院の移転地を人工島にするにあたっての「売り」のひとつとなっていたものだ。その公園に毒グモがいたということは、海外からはるばる運ばれてきた毒グモが、コンテナターミナルから移動し、中央公園に住み着いたということになる。こども病院ができれば、そこに住み着くということに他ならない。
それでもこども病院建設の最適地だというのなら、吉田市長や役人、移転賛成の市議らは市民の安全、とりわけ「こどもの命」について、守ろうという気持ちが全くない連中ということになる。もう一度おさらいするが、セアカゴケグモに咬まれた乳幼児や高齢者は、重症化するのである。
人工島に奉仕しているのか、市民に奉仕しているのか、自分たちの立場を再考することをお勧めしたい。
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