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第三セクターが抱える問題(1)~福岡市・行政改革の実態(22)
行政
2011年2月 9日 07:00

 今回から、国や地方自治体において「役人の天下り先」と批判されている第三セクターについて、何回かに分けてお話させていただきます。
 「第三セクター」とは、本来英米において政府公共部門(第一セクター)や民間営利部門(第二セクター)に属さない第三の部門としてNPOなどの民間非営利部門を指すものでしたが、ここでは国や地方自治体が出資する私法人を指すものとして用います。独立行政法人や地方三公社などは含めません。なぜなら、これらは設立団体が国や地方自治体に限定されており、当該設立団体は法律上独立行政法人や地方三公社などに指揮命令権を有しているため、これらの法人は第一セクターにかなり近い存在だと考えられるからです。

福岡市 第三セクターに対する地方自治体の関与のあり方は、自治体運営の基本的なあり方に関わる大変重要なテーマであり、きちんと整理する必要があると考えています。
 19世紀の近代社会においては、地方自治体は一貫して、現業的業務も含めて様々な行政サービスをもっぱらその雇用する公務員により直接住民に提供する直営方式を採ってきました。
 しかしながら、(1)社会経済構造の変化に伴う行政課題(低成長経済、少子高齢化、市民ニーズの多様化)への対応、(2)地方分権の進展に伴う「自己決定・自己責任」の原則の徹底、(3)NPOやその他の非営利民間組織(民間公益活動組織)の台頭、などが顕著な現代の「成熟社会」においては、行政サービスの効率性、有効性、多様性が一層求められるようになってきました。

 このような要請に対応して、地方自治体が、「最少の経費で最大の効果」を目指す市政運営を推進していくためには、直営方式のみというわけにはいきません。市場原理により行動する民間企業との委託契約によって行政サービスを提供する方式(アウトソーシング方式)や、市場原理が機能しない(「市場の失敗」が予想される)分野などにおいては、NPOなどの非営利 民間組織とのパートナーシップにより行政サービスを提供する方式(公益ネットワーク方式)を活用することが必要となってきます。つまり、行政サービスの提供主体の多元化が求められるのです。
 そのようなことから、私はこれからの行政運営は、これまで行政(官)が独占してきた「公共(パブリック)」という分野を民間にも任せていくという「官から民へ」「新しい公共(パブリック)」という考え方が必須になってくると考えています。

(つづく)
【寺島 浩幸】

≪ 第21回「『説明責任』の発祥地・イギリス」 | 

<プロフィール>
寺島浩幸氏寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制係長などを歴任し、2010年8月退職。在職中、主に法律関係の職務に従事するとともに、市長直属の特命業務や議員提案条例の支援を担当するなど、市長部局と議会事務局の双方の中枢業務を経験。
 現在は、行政書士事務所を開業して市民の身近な問題の解決をサポートするとともに、地域主権の要となる地方議会の機能強化を目指し、議員提案条例アドバイザーとしても活動中。

<主な実績>
・日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化
・日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生
・日本初の「移動権(交通権)」の理念に立脚した議員提案条例の制定支援

▼関連リンク
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