ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

濱口和久「本気の安保論」

中国に存在しない日本の"遺棄"化学兵器(後)
濱口和久「本気の安保論」
2011年10月26日 07:00
日本政策研究センター研究員 濱口 和久

<接収者に管理責任>
 旧ソ連軍が接収した膨大な物資のうち、規格に合わない日本軍の武器弾薬、装備品、大半の備蓄物資などは毛沢東の共産党軍(八路軍)へ直接、あるいは蒋介石の国民党軍経由で、そして最後は、再開された国共内戦で共産側が勝利し中華人民共和国が建国されたことにともなって、接収された全軍需品および施設は中国人民解放軍(共産軍)によって継承された。

 これが満州をふくむ全中国の軍需品の最終処分の実態である。日本としては毒ガス弾を含むすべての兵器が接収されたのであり、中国はその接収物を継承しており、継承の瞬間から国際法上も管理責任は中国側にある。そのため日本側は責任をとることができないし、またとるべきでない。遺棄化学兵器の管理責任が、中国政府にあることは歴史的経緯からして明らかなのである。

 もし、この中国の論理を認めるならば、中国が継承した旧ソ連の接収物資から発生するあらゆる被害に対し、日本政府は永劫の未来まで、責任を負わされることになる。現在、日本政府は中国にある毒ガス兵器の発掘回収事業に協力しているが、あくまでこれは日本の好意によるものである。

<村山、河野両政治家の責任は重い>
 村山富市首相と河野洋平外相は、平成11年(1999年)7月、どこの国のものかを問わず、中国に存在するすべての毒ガスと毒ガス弾を日本が発掘回収することを約束した。
これは遺棄と接収との違いが判らぬ無能な政治家が先頭に立って、日本の国益を大きく損なった典型的な例である。この愚行により日本の名誉は大きく損なわれ、負うべからざる負担を長く負うことになった。

 なお、戦時中、日本軍が毒ガス弾を装備していたことも非難されるいわれはない。当時日本軍と対峙していた蒋介石・国民党軍は米英から、毛沢東・共産党軍は旧ソ連から供与された毒ガス弾を保持していた。日本軍が対抗上、研究開発し、保持していたのは当然のことであり、世界の常識だったのである。

(了)

≪ (前) 

<プロフィール>
濱口 和久濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
 昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、現在、テイケイ株式会社常務取締役、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスターを務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、領土問題や日本の城郭についての論文多数。


*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

濱口和久「本気の安保論」一覧
濱口和久「本気の安保論」
2012年12月12日 07:00
濱口和久「本気の安保論」
2012年12月11日 12:35
「自爆民主党解散」シリーズ
2012年11月30日 12:13
「自爆民主党解散」シリーズ
2012年11月19日 10:35
濱口和久「本気の安保論」
2012年11月19日 07:00
濱口和久「本気の安保論」
2012年10月31日 15:25
濱口和久「本気の安保論」
2012年10月26日 10:41
濱口和久「本気の安保論」
2012年10月20日 07:00
濱口和久「本気の安保論」
2012年10月19日 10:31
濱口和久「本気の安保論」
2012年9月28日 10:22
濱口和久「本気の安保論」
2012年9月26日 10:22
濱口和久「本気の安保論」
2012年9月13日 10:07
濱口和久「本気の安保論」
2012年9月12日 13:20
濱口和久「本気の安保論」
2012年8月25日 07:00
濱口和久「本気の安保論」
2012年8月24日 14:27
濱口和久「本気の安保論」
2012年8月21日 12:00
濱口和久「本気の安保論」
2012年8月17日 10:00
濱口和久「本気の安保論」
2012年8月16日 14:33
濱口和久「本気の安保論」
2012年8月 3日 07:00
濱口和久「本気の安保論」
2012年8月 2日 07:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル