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【企業研究】不動産事業伸ばすビジネス・ワンHD(株)の弱点(後)
特別取材
2012年1月13日 07:00

 ソフトウェア開発業として創業したビジネス・ワンホールディングス(株)は、不動産事業の強化により一時期の業績不振から脱した。ところが、マンション管理部門は2012年3月期第2四半期決算において赤字に転落。飛躍の切り札と期待された同部門が負担となっている。

<迫る決断の時>
 こうしたなかで、もうひとつの事業の柱であるマンション管理事業が利益を圧迫している。2010年3月期段階では、セグメント別最大の売上高6億3,239万円を上げたものの255万円の損失を計上。5事業のうち唯一の赤字だった。11年3月期はクロスコミュニティの買収効果もあり8億9,444万円の売上高を計上。利益も937万円ながら黒字に回復した。ところが、12年3月期第2四半期決算において、同事業売上高は0.8%増の4億5,459万円となったが285万円の赤字に再度転落。これは、マンション管理子会社のビジネス・ワンファシリティーズが1,000万円の特別損失を計上したことによる。

bi.jpg そのビジネス・ワンファシリティーズは10年6月、同業のリアリティマネージメント(福岡市中央区)より訴訟を提起。08年7月から8月にかけて発生した従業員の移籍にともなう顧客情報の漏えいにより、取引先を奪取されたとして、1億6,897万円の損害賠償を請求された。
 これについて、当初ビジネス社は「まったく理由のないものと判断し、請求金額を支払う義務がない」と強気の姿勢を示し争ってきた。係争は1年以上におよんだ。しかし11年11月、全面対決から一転、ビジネス社が1,000万円の和解金を支払うこととで決着した。その内容をHP上に「双方の担当職員間でリアリティマネージメントの機関決定なく、マンション管理委託契約に関する情報を取得した事実が認められるなど通常の営業活動の範囲を逸脱した不適切な行為が認められる」と公表。自社の落ち度を認める結果となり、M&Aなどマンション管理事業の性急な拡大によるひずみが浮き彫りとなった。

 11年3月時点でのグループ総従業員88名のうち52名が、ビジネス・ワンファシリティーズを含むマンション管理事業に属する。管理部門だけで臨時雇用者は年間平均129名に上るが、こちらもグループ内で管理部門だけが用いる雇用形態だ。「相応の管理戸数、ノウハウ、サービスなどの総合力があって初めて利益が出る業界。安易な参入はリスクが大きい」(管理業界関係者)とされ、雇用に貢献する一方で、容易に利益が出せない業態である事実も突きつけられている。

 10年5月、ビジネス・ワンファシリティーズはマンション管理業界最大手の大京アステージ(東京都渋谷区)と業務提携を行なった。コンプライアンス、効率化、サービスなどマンション管理事業の基盤強化を図る。管理業者としての力量向上に期待が持たれるが、コストが増加分を吸収する新たな収益源が必要になる。

 不動産業者としての道筋が見えてきたなか、前出のマンション管理業者が指摘する通り、管理部門の扱いが今後の命運を握る。さらなる拡大を目指すのか、完全撤退するのか、決断の時期が近づいている。

(了)
【鹿島 譲二】

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<COMPANY INFORMATION>
■ビジネス・ワンHD(株)
代 表:尾崎 朝樹
所在地:福岡市中央区薬院3-16-27
設 立:1987年8月
資本金:4億3,603万円
業 種:不動産・マンション管理ほか
売上高:(11/3連結)21億3,520万円


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