中国の建機メーカーの躍進が著しく、コマツなど日本の建機大手にとっても、軽視できない存在となっている。
なかでも、中国最大手の三一重工は、破竹の勢いでグローバル企業に成長。福島の原発事故に「大キリン」と呼ばれる62メートルのアームを持つコンクリートポンプ車を提供し、放水作業を行った。この福島第一原発での「大キリン」の活躍は、日本だけでなく、世界へ大きなアピールとなった。
三一重工では、油圧ショベルなどを「東日本大震災仕様」として売り出すなど、中国メーカーらしい抜け目のない商売のうまさも見せている。三一グループは、1989年に湖南省で創業。三一重工を中心に建機、風力発電機などを製造している。北京オリンピック前に建機需要が高まり、一気に成長し、技術力を上げた。
1月には、独コンクリートポンプ車のプラツマイスターを買収。グローバル企業として、M&Aも活用している。2月にオーストリアのパルフィンガー社と提携するなど、着々とグローバル企業への道を歩んでいる。
ロイター通信などによると、東証への上場を打診しており、世界を見据えたブランド戦略として、日本での知名度を上げようとしているのは明らか。コマツ、日立建機、クボタなど国際レベルの建機メーカーがひしめく日本に挑戦状をたたきつけた形だ。
<ズームライオン、広西柳工など多士済々>
昨年10月頃、コマツの中国での伸びが鈍化したが、その背景には、三一重工を中心とした中国地元勢の好調さと、米キャタピラー社などの現地化戦略の成功が背景にある。とくに油圧ショベル部門での中国勢のシェア拡大が目立っている。日本、韓国勢のシェアが奪われる形となった。
三一重工のほかにも中国勢は安定して伸びている。ズームライオン(中聯重科)は今年、福島県会津若松市に現地法人を立ち上げ、工場建設を計画中だ。震災後の復興需要を取り込むのが狙いで、地元企業などと提携し、福島での雇用創出にも一役買う。
広西柳工機械は、ポーランドの建機メーカーHSW社を買収。米大手のカミンズと発動機の共同生産を開始するなど、アメリカ進出にも足がかりを作ろうとしている。
中国各建機メーカーの世界展開は、アジアで優位を保ってきた日本勢にとっても、大いなる脅威となりつつある。
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