玄海原発の立地する玄海町は、日本でも有数の安定した地盤に建てられている原子炉と言われている。世界的見地から言えば、危険な部類に属するかも知れないが、国内では安全な地盤に属する。昨年5月、JR九州の石原進会長も「玄海原発の地盤は日本で一番安全」と発言しているが、根拠のない話ではない。事実、警固断層による福岡西方沖地震以外に大きな地震を経験していないし、近隣に走る断層(竹木場断層、城山南断層)は穏やかだ、大きな地震と津波を発生させるプレート境界も確認されていない。原子力安全・保安院の発表した資料(平成23年6月9日付)でも、切迫した状況にはないとされている。つまり、福島のような大きな地震で事故の引き金が引かれるようなことには、当面の間はなかろうと言うことだ。
しかし、断層があることも間違いなく、それに対する備えは運転を希望する限り必要条件となる。九州電力によるとその点も想定してあり、条件は十分に満足させているとのことだ。地震、津波に関する限り、玄海原発は国内有数の安全性があることは間違いなかろうと思われる。
その他、火災、人的ミスなども考え得るが、その点については他の原発同様に安全措置がとられている。一般に考え得る過酷事故への備えは、機能するかどうかは別として、とられているので、それに関して指摘をしても反論を受けて引き下がるのがオチになろう。
ただ、これらは避けようのない天災や、善意の職員たちによるミスへの備えであって、悪意のある対象に向けたものではない。これが玄海原発の一番の危険性となるのではないかと思われる。
悪意のある対象とは、たとえばテロリストや戦争状態に陥った場合の敵国である。手に銃を携え、爆薬を持ち、破壊の技術を備えた何者かに対する備えという意味では十分と言えるのだろうか。未曽有の大震災はいつ起こるか分からないが、悪意に基づく人為的な破壊工作ならば、いつ起きても不思議ではない。人為的な破壊について、考えてみようと思う。
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