<大隅半島を農業が救う>
――農業に取り組むうえで、大隅半島とはどういう場所でしょうか。
坂上 非常に有利な場所です。休耕地を含め、土地が豊富にある。300カ所の農地は、管理を間違えばロスが出ますが、ここでITやデータが生きてくるのです。合理化、段取りにより、スムーズになります。
また、春が一番早く訪れるのもメリットです。旬の野菜をいち早く出荷できますし、2期作が可能で収穫量が多い。
――ほかにも、頑張っておられる経営者はいらっしゃいますか。
坂上 クリエートファーム(鹿児島県鹿屋市)の枦川勝志社長などは、素晴らしい経営者です。畜産業ですが、自ら加工し小売店もやっておられます。そういう面でも、大隅には潜在力があります。農業で産業を活性化されていくでしょう。
――優秀な人材が、各地から集まって来るそうですね。
坂上 考えられないような良い人が入社してきます。35名の社員のうち、専門職以外のほとんどが島根など地元以外の出身者です。以前は北海道の子もいました。基本的に大卒で、昨年度は6~7名採用しました。約10倍の狭き門をくぐりぬけてきますので、皆、覚悟を持っています。こうした人材を見ただけでも、我が社には非常に伸びる潜在力があると確信しています。
――どういうマネジメントをされていますか。武道家だけに、やはりスパルタなのでしょうか。
坂上 仕事ではそんなことはしません(笑)。特性を見て、やりたいことをやってもらいます。交通整理、環境整理が、私の仕事です。権限委譲をすると伸びますね。社員はお客さま(消費者)ですから、彼らの望むことをしてもらいます。
――課題はありますか。
坂上 たくさんあります。ですから、やるべきことがあります。当面は、人材育成でしょう。優秀な素材の人たちに、なるべく早い時期に高い水準まで行ってもらいたいです。
――将来展望について教えて下さい。
坂上 現在、我が社は農事法人として平均的な売上高だと思います。100億円までは、今までの延長線上で可能でしょう。そして何とか私が生きているうちに、1,000億円を達成したいと思います。
鹿児島県の市場規模が4,000億円です。私たちの仕事は、水と土と空気があればどこでもできる。1,000億円に到達したときには、大隅の枠を超えたものになるでしょう。今育っている人たちが羽ばたけば、可能だと信じています。
――経済が急降下、震災で価値観も変わっています。そうしたなかで、日本人はどのように生きていくべきでしょうか。
坂上 日本人の繊細さを活かすべきだと思います。私たちはこれまで、原料に付加価値を付けることで経済成長し、世界から称賛されました。今は震災で元気をなくしていますが、失意のなかで整然と並ぶモラルの高さや、人を気遣う気持ちに、世界は驚嘆しました。こうした繊細さが、もう一度世界を席巻すると思います。
これから、思いもよらぬことが起きてくるでしょう。過去の歴史を見ても、戦争が起きる可能性もゼロではありません。そのときに自分たちに何ができるか――。私は農業家としてできる準備をしておきたいと思います。
(株)さかうえ(農業生産法人)
代 表:坂上隆
所在地:鹿児島県志布志市志布志町安楽2999
設 立:1995年4月
資本金:5,200万円
TEL:099-473-1990
FAX:099-473-1979
作付面積:150ヘクタール
http://www.sakaue-farm.co.jp/
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