ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

SNSI中田安彦レポート

「橋下・維新の会」よ、国政に出るのは最低4年待て!(4)
SNSI中田安彦レポート
2012年4月 4日 16:53
SNSI(副島国家戦略研究所)研究員 中田 安彦

 橋下市長が主張しているのは、地方政治においては大阪都構想、国家レベルにおいては、国の統治機構の完全な作り変えである。それには時間がかかる。(橋下は米国の社会学者、リチャード・フロリダの著作「グレート・リセット」の名前を使っているが、さほどその本の内容には関連しない)

 言い換えれば、それはコンピュータのOS(オペレーションシステム)を徐々に不具合を直しつつ、バージョンアップしていくようなものだろう。いきなり国政に出て、霞が関の旧来型のOSにやっつけられるよりも、まずは地方分権時代の統治機構のOSの構築をじっくりとやるべきだ。

 橋下市長に対しては、公務員労組に同情的な論客や政治勢力や、新自由主義を批判する内田樹や山口二郎らの学者・評論家から批判が強いが、公平に見ても説得力はあまりない。橋下のことをハシスト(ハシズム)と呼ぶような極論も横行したが、これも古い左翼評論家の商売言論でしかないだろう。このような批判は、維新の会を取り巻く問題の本質を取り違えるだけである。現実政治には財界や公務員らとの生臭い権力関係がある。外野で理想論ばかり述べていても仕方がない。

hito.jpg それよりも問題なのは、橋下ブームが一過性の祭りで終わってしまうことだ。民主党政権の失敗が示しているように、行政改革、官僚機構改革には時間がかかる。すぐに結果を求めるのではなく、最低でも4年はかかると構える姿勢が有権者側にも必要だ。それに、反対勢力からの妨害は時にして小沢一郎や鈴木宗男に対する「国策捜査」の形を取ることもある。「祭りのあと」の失望感を背景に官僚機構は自分たちに有利な統治機構の温存を図るだけだ。

 私の心配を裏打ちするように、目下、大阪市内では先の市長選挙において、維新の会が仇敵である労組攻撃材料に使った、大阪市職員の「選挙関与リスト」の捏造問題が沸き起こっている。平松前大阪市長の後援会への市職員の参加を徹底させる工作を裏付けるリストとされていたが、架空のものだったというのだ。

別の目的で作られた大阪市職員のリストを維新の会の支持者の市職員が加工・捏造したものだったという。まるで民主党の前原誠司代表時代に起きた、ホリエモン偽メール事件のようだ。偽物リストを維新の会が掴まされたわけだ。これは脇が甘い。今回は、「善意」からニセの内部告発を仕立てた職員に騙された形だが、これは、仮に維新の会が国政に出て、敵対勢力がわざと作った怪文書があってもそれに飛びつく危険性があるということを逆に示している。政治の現場というのはそういう泥臭い裏工作が横行する場所だ。どんな爆弾が破裂するかわからない。

 このような事件を見るにつけても、また政策集の煮詰め方が足りない部分を見ても、まずは「維新の会」には国政における政権担当能力はまだまだ無いと言わざるを得ない。好意的な言い方をすれば、今はまだ「雌伏のとき」ということである。今はせいぜい、街頭演説と個別訪問で、有権者の地盤を固めるときだ。4年あればそれができる。

(了)

≪ (3) | 

<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。


※記事へのご意見はこちら

SNSI中田安彦レポート一覧
SNSI中田安彦レポート
2012年7月12日 07:00
SNSI中田安彦レポート
2012年7月11日 07:00
SNSI中田安彦レポート
2012年7月10日 15:41
SNSI中田安彦レポート
2012年4月25日 07:00
SNSI中田安彦レポート
2012年4月24日 10:14
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル