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特別取材

鹿児島・薩摩川内市産廃処分場建設は植村組への救済か(5)
特別取材
2012年4月10日 11:29

 前回分析した数値を基にグループ全体を俯瞰してみると、地方で隆盛を極めた企業グループの凋落した姿が浮かび上がってくる。鹿児島を代表する企業グループの面影は、すでに失われつつあるのが実情だ。メインバンク・鹿児島銀行の主導でグループ全体の舵取りがされているとも聞かれるが、図体が大きいだけに再生も容易ではないだろう。

 一方で、鹿児島県は産廃処分場建設をさらに強固なものにするため、2010年に「鹿児島県県外産業廃棄物及び県外汚染土壌の搬入の許可に関する条例」を制定した。これは、"鹿児島県の産廃は他県に捨てるが、他県の産廃は鹿児島に持ち込ませない"という実に身勝手な条例だが、このきっかけをつくったのも田中良二県議だったとされる。条例制定の意図は、宮崎県小林市に本社を置く九州北清(株)(髙橋俊一社長)が鹿児島県湧水町で進めた管理型処分場の設置計画を止めるためというのが、真相のようだ。

 いずれにせよ、もっとも被害を受けているのは地元住民たちで、生まれ育った土地を納得のいく説明を受けられないまま浸食され、さらに自治会も寸断された。しかも、それが「鹿児島県による植村組という特定企業の救済にしか見えない」(地元住民)ところに最大の問題がある。処分場建設地に行くと、工事現場の対面に地元住民の嘆きの声が刻まれた木の札が無数にぶら下げられている。「知事は愛もなければ心もない人」といった伊藤知事の人格を否定するものや、「なぜ下流の水利組合にも説明がないのか」「この地を候補地に選んだ理由が知りたい」といった説明不足を糾弾するもの、はたまた「あなたは仏壇の裏にゴミを捨てますか」という冠嶽の霊山性を守ろうとするもの。内容はさまざまだが、怨念を感じる異様な雰囲気さえ漂っている。

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 しかし、そうしたことはお構いなしに、工事は着々と進行している。現地取材した際、大成建設の社員が嘲笑しながら「この工事は民間工事だ」と言い放っていたが、主体が財団法人という民間という体をとっているだけで、実態は約100億円ともいわれる税金が投入される紛れもない公共工事である。もしこれが、植村組救済という目的が少しでもあるのだとしたら、植村組は公金が頼みの綱という企業であるのだとしたら、もはや同社に社会的な存在価値はないということの裏返しではないだろうか。

 同社の経営基盤は過去のように盤石ではない。むしろ、地元では「決算書の内容に問題があるのではないかと同社を辞めた人間が吹聴している」とさえ聞かれる。今後も取材を進め不透明な部分を明らかにしていくが、そうした部分が残っている以上、処分場建設は即刻中止すべきだということを最後に主張しておきたい。

(了)
【特別取材班】

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