そもそも、植村組とガイアテックの財務内容はどうなっているのだろうか(下記【表】参照)。植村組の財務内容の数値で目を引くのは、(1)目減りする現預金、(2)その他流動資産の多さ、(3)増加する借入金だ。
【表】
現預金は2009年から11年にかけて2期連続で約3億円の減少。一方で、長短合わせた借入金は09年の約27億9,000万円から11年には約36億6,000万円で、2期連続で4億円以上増加している。植村組の30億円を超えるその他流動資産のなかには、毎期14億円前後の有価証券が計上されている。固定資産には土地が毎期22億円前後計上されており、この有価証券と土地の金額を考えれば、借入金が過大だとまでは言えない。ただ、キャッシュフローの悪化から現預金が減少しているため、資金繰りは悪化傾向と言えるだろう。過去には単独で200億円の売上高を誇っていた植村組だが、財務内容はグループ母体の企業として考えれば寂しい数値だ。
次いで、ガイアテックの財務内容の数値で目を引くのは、(1)現預金の少なさ、(2)その他流動資産の多さ、(3)土地の多さ、(4)借入金の多さだろう。現預金は11年5月期で約1億円と、企業規模から考えれば少ないものだ。植村組と同様に、その他流動資産のなかには有価証券が毎期14億5,000万円程度計上されている。土地は毎期31億円余りが計上されているが、長短合わせた借入金が約60億円ある。植村組とは逆に、借入金は明らかに過大だ。
植村組グループの建設・不動産分野の財務内容を大まかに表すものと判断し、両社の数値を合算してみると、売上高が140億円余りで総資産は約200億円、借入金は約97億円。有価証券は約28億5,000万円で土地は54億円余り、現預金は13億円余りとなる。相応の資産は有するものの、総資産に対する借入依存度は約48%、借入金月商倍率は8.3カ月相当で借入過多の状況だ。同時に、現預金は月商1.1カ月分程度しかなく、財務内容の脆弱さが浮かび上がってくる。
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