「選挙とは現代の戦争」と権力闘争に意欲的な姿勢を見せる橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)、名古屋市民とともに「現行法制度上の奇跡」と言える大都市のリコールによる市議会解散を成功させた河村たかし名古屋市長(減税日本代表)、そして、今なお保守を中心に絶大な人気を誇り、国政にも影響力をおよぼす石原慎太郎東京都知事。この3者がスクラムを組んだ第3極同盟が、既得権でがんじがらめになった政治を一新する『倒幕』へ向けて、いよいよ本格的な動きを見せようとしている。
河村氏は7日、東京都庁で石原氏と会談、「中央集権打破へ向けて協議を進めていく」ことが報じられた。この件について、報道では河村氏が協力を呼びかけたとされているが、連携に関して主導権を持っているのは石原氏の方という見方がある。4月4日、石原氏は大阪市内で橋下氏と会談し、同じく「中央集権打破」で一致。石原氏を介して、河村・橋下がつながる。河村氏の減税政策をはじめ、政策における橋下氏との違いが指摘されているが、「考え方が違う者同士が手を結ぶから『薩長同盟』だろ!」との一喝で決着したとか...。
決戦へ向けての準備もそれぞれで進んでいる。現状、当初2,000人が志願した大阪維新の会主催の「維新政治塾」は回を重ねており、次期総選挙における立候補者の選考が行なわれている。一方、減税日本主催の「河村たかし政治塾」には、名古屋市における第1回開催に500人近くが参加。全6回を予定し、東京および東北・仙台市でも開催していく予定である。
「中央集権打破」を掲げる新興勢力側の次期総選挙を意識した活動は、それだけの人数が集まること自体、中央の既存政党にとって大きな脅威だ。選挙までの時間が開けば開くほどに、戦闘準備が着々と進んでしまう。
そのようななか、すでに水面下では計略戦が始まっているようだ。敵方の士気をそぐための作戦を用いるのは、戦いの定石。マスコミも巻き込んだ揚げ足取り、イメージダウン戦略、寝返り工作などに対して、組織の統制、支持率の維持といった面で新興勢力の体力がどこまで持つだろうか。
結局のところ、既存政党と新興勢力の双方が、早期の解散総選挙を望んでいると筆者は考える。同様の憶測もあってか、実際に地元における政治活動に力を入れ始めた現職議員は日増しに増えており、元職、新人の立候補志望者も活発に動いている。
ここで新興勢力にとってのポイントは、大阪ダブル選のピーク時からすればおさまりつつある『維新ブーム』を、何をきっかけとして再燃させて、『倒幕』への気運を高められるかどうか。「すでにシナリオはできあがっている」という声も聞こえているが――。
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