20日、欧州最大級の観光客船会社であるコスタ・クルーズ社(イタリア)の大型クルーズ船「コスタ・ビクトリア」が博多港に初入港した。コスタ・ビクトリアは全長252.9m、総トン数7万5,166t。コスタ社がアジアに初めて投入した7万t超のクルーズ船で、日本の港に入るのは博多港が初めてであった。同船は中国人観光客を中心に約2,100人の乗客を乗せ中国・上海を出航、韓国・済州島に寄港した後に博多港に入った。このような海外からのクルーズ船の博多港への入港数は、今年は約78回が予定されている。
クルーズ船の入港も増え、アジア市場と福岡が今まで以上に注目されるようになってきている。そんななか、中国人への情報発信などを行なっているのがアジアマーケティング(株)である。同社の代表取締役社長の田中旬一氏は、日本の今後の人口減少にともなう市場の縮小のなかで、高校生の頃から隣国中国の巨大市場に魅力を感じ、中国留学を経験。同社を2012年2月に設立し、「観光」「留学」「不動産」の3つの分野に焦点をあてて事業を展開している。
留学面では、主に中国人留学生に対する支援や、日本の学校を卒業した後、福岡で活躍してもらえるような就職支援などを行なっている。
不動産面では、現在、留学生に対して下宿先を紹介することを中心に展開。
観光面では、中国人をはじめとしたアジアからの観光客をサポートすることを目的としている。中国にサーバーを置き、日本企業の店舗PRなどを翻訳して自社ネットサイト(深度日本 DeepJapan)に掲載するサービスを行なっているほか、掲載している企業へのアドバイスなどのコンサルティングサービスなども行なっている。
「中国は広いので、何が当たるかわかりません。そのため、柔軟性を持つことが大事です。たとえば、日本でおみやげとして人気のある伝統的な焼き菓子などがありますが、日本で販売している物そのままでは売れませんでした。それを中国人好みな包装に変えてみたところ、売上が大きく変わったこともあります」(田中氏)。
教科書通りのアドバイスではなく、現場レベルでのサポートも行なっている。たとえば、流行語を取り入れるなどの親しみやすい言葉での接客のアドバイスや、よくあるトラブル例などをフィードバックし、サポートしているという。
一度に2,000人以上の観光客を乗せた船が年に数多く入港する現在、クルーズ船は魅力的なマーケットである。しかし、田中氏は、ターゲットをクルーズ船客だけに絞ってしまうのは非常にリスクが高いことを指摘。個人自由旅行に力を入れていく必要性を強調している。
「現在、多くのクルーズ船が入港していますが、福岡に突然来なくなる可能性は十分にあります。実際に、昨年の東日本大震災後は、相次いでクルーズ船が欠航しました」(田中氏)。
個人自由旅行の場合、個人は観光、飲食、ショッピングなど、どこのお店に入るかわからない。そのため、どこのお店でもそれなりの観光対応ができるようにしておくことが求められる。喜ばれる個人自由旅行の実現には、道路標識や地下鉄、ホテルなどのハード面での対応だけでなく、現地の人々の応対や語学力向上など、さまざまな対応が求められる。
「日本人は、街で外国人に話しかけられると、言葉がわからないからといって拒絶しがちです。しかし、日本で困っている外国人側から考えれば、非常に不親切なことです。言葉はわからなくても、身振り手振りでのコミュニケーションで、何とか対応できる場合もあります。『ニーハオ!』と声をかけるだけでも、違ってきます」(田中氏)。
一企業の取り組み、行政関係者だけでなく現地住民の意識向上など、快適な個人自由旅行の実現には、まだまだ先が長い。しかし、同社はできることから1つずつ取り組んでいく考えだ。
<COMPANY INFORMATION>
■アジアマーケティング(株)
代 表:田中 旬一
所在地:福岡市博多区冷泉町1-3 エクセレンス祇園207
創 業:2012年2月
資本金:700万円
TEL:092-281-4700(代表)
FAX:092-281-4700
URL:http://asiamarketing.jp/
http://www.deepjp.com/(深度日本 DeepJapan 中国語サイト)
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