<新時代突入! 無策の九電は残り滓の運命>
【2011・3・11】以降、新時代へ突入した。原発に頼らない電力供給の構築が問われている。と同時に、電力業界にとって「自由化と競争の原理の導入の遅れ」が命取りになる懸念が高まってきた。緊要の課題だが、過保護の世界に生きてきた輩には策を講じられるわけがない。激突を潜り抜けてこそ組織はたくましくなり生命力がつく。独占の地位に胡坐をかいていた組織は残り滓(かす)の運命しかないのではないか!
東電を筆頭にした【九電力】と同様に、独占保護されていた企業(国の事業組織)は数多くあった。たとえば昔の国鉄(日本鉄道)は「JR6社へ」、電電公社は「NTT関連各社へ」、専売公社は「JTへ」、郵便は「日本郵政(株)へ」と民営化されて時代対応を図った。競争の渦中に叩き込まれた。ところが昭和26年からスタートした地域独占【九電力】体制の変革の着手が遅れた。これがつまずきの要因になっている。激変時代に無能さぶりを露呈していて世間から物笑いの状態である。「配送電分離」という電線管理会社を別個設立させる改革が実行されただけでも九電を含めた【九電力】の経営基盤は揺らいでしまうだろう。この改革は近々、断行される運びになる。
<異業種の巨人が殴り込み!>
加えること、まさしく新局面に躍りでた。経済産業省は「1キロ42円買取」制度を決定した。太陽ソーラによる再生電力を1キロ42円で買い取る取り決めだ。巷では「欲得先行」でビジネスに挑戦している。「自然再生エネルギービジネスのバブル」と表現する。誰も彼もが「現代の電力王になるぞ」と駆け回っている。太陽光熱ヒーターの取り付け、メガソーラー建設の投資が進んだ暁には「なーんだ、九電さんの集中型発電所(原発を含む)のビジネスモデルに頼る必要もない。簡単なことだ」という認識が広がる。そうなると九電を無視する空気が蔓延するするだろう。これでお終いだ。
さらに東電を筆頭にした【九電力】にとってそら恐ろしいことが進行している。電気自動車の普及である。そうなると「家庭生活のための電力と自動車使用のオイル」の分離という常識が「家庭生活も自動車も電力」へと移行していく。一見、電力会社にしてみれば市場拡大になる嬉しい話のようだ。ところがだ、現実は甘くない。「家庭発電所」という概念が定着するのではないか。「自宅で使用電力と車の燃料を製造しよう」というライフスタイルが流行し主流になっていく。
この新ライフスタイルを提案するのは「トヨタ・パナソニック」連合だ。この連合の動きは5年以内に本格化する。2社の総売上規模は26兆円、かたや九電力のそれは16兆円弱。【九電力】各社は初めて己よりも巨大な組織と戦う破目になるのである。九電のトップに近い経営幹部に新時代の到来を説いたが、「我が他人事、無事役員定年を迎えればよし」という姿勢を堅持していた。同席していた友人は「こんなのが代表権を持っているので九電も終わりだな。中味がまるでゼロだ」と呟いた。
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