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コダマの核心

栄枯盛衰は世の常、神の摂理(6)~消費電力推移から見た九電の組織顛末
コダマの核心
2012年6月14日 07:00

<衰退への道>

下りは平成13年(2001年)から、価値観も大きく変化

_kyu-den1_s.jpg 脱線ではないが、話を少し横道に外す。黄金時代も2期に分けられ、昭和50年(1975年)から平成2年(1990年)までが第1期である。この期間の使用電力を伸展させた原動力は民需の伸びにある。「現世に『共産主義世界』の到来があった」如くすべての民は、消費電力を贅沢三昧に使って怠惰な生活を満悦した。平成2年(1990年)でバブルが弾けると万民すべてがハッピーには暮らすことが不可能になってきた。「失われた20年」の始まりだ。

 後半の2期目は、サービス産業の消費電力の増大が使用電力増に寄与している。バブル時代にはパチンコ遊技場がキンキンキラキラの照明装置を取りつけた。バブル時代の生活スタイルは「24時間遊びまわる」ことである。これに対処して、全国に24時間営業のコンビニが開設されていった。生活者はバブルが弾ければ、すかさず生活を質素にさせる(収入が減るから生活水準を落とすしか方策はない)。ところがサービス産業はケチることが容易でないから、長期に渡って電力浪費に終始していたのだ。

 この九電の「黄金の時代」にはあらゆるところに金をばら撒く余裕があった。しなくても良い設備投資を膨張させ取引関係先に潤いを与えた。各地域にも懐柔策としての支援金を大盤振舞いした。政治家にも献金には糸目をつけなかった。そして最後にやってきたのが消費者への御配慮である。電気料金の値下げを再三、行った。「儲けすぎ」の批判を封殺するための企みであった。美味しい飴をしゃぶらせれば誰でも九電の軍門に下る。「九州経済界の君臨者の九電」という異名が定まった。誰でもが「原発という収益のツールを持った九電の威光は永遠なり」と錯覚に陥っていた。だが消費電力は頭打ちになり『原発依存体質』の根幹が揺らぐような社会的危機の煮詰まりが訪れるようになってきた。

<原発依存の矛盾が露呈、斜陽の道が始まる>
 平成13年(2001年)以降、「失われた20年」の影響が「消費電力の頭打ち」という傾向を生みだした。最大電力の推移をみれば一目瞭然だ。平成13年(2001年)から22年(2010年)まで10回のデータを眺めても構造変化が歴然としている。「消費電力は必ず増加するもの」という哲理が打ち砕かれるようになった。この9年間に対前年比で3回、マイナスを記録している。最大電力のピークは平成20年(2008年)の1,755万kWだ。9年間、1.600万kWから1,755万kWの間を往来の状態だ。「電力需要が頭打ちになった時代に突入したこと」が明確になった。売上の伸びがスットプしたということは、斜陽の道を踏みだし始めたということだ。

 どうして頭打ちから逓減化が現れだしたのか?(1)まずは日本経済の停滞からくる消費電力の頭打ちである。勿論、生産拠点が海外へ移転したことも大きな影響を与えている。(2)生活者の年齢の高齢化と少子化いう地殻変動が顕著になってきたことも一要因だろう。(3)何せ収入が増えない、下手すれば減るという時代になれば電気代をケチるようになる。生活防衛の行為に走る。(4)そうなると世の中は【節約志向】になる。ビジネス市場は「節電、電力圧縮」のキーワードの下に新商品が出回る。(5)原発の制度疲労が露呈されだして疑念が高まっていく。

 よーく思慮して頂きたい。昭和50年(1975年)から現在に至るまでの38年間、原発ビジネスモデルだけで好業績が持続できたのが奇跡なのだ。大企業であれ、ひとつの傑出した武器で業績を伸展させるのは5年が限度である。油断すれば倒産の危機に遭遇することもある激烈な国際企業戦争の渦中にあるのに九電・9電力会社は、御国守られたお役所以上。緊迫感もない。経営幹部の誰もが「38年の繁栄は永遠に続く」と確信を抱いていた。
 だからこそ『原発の制度疲労』の危険性に直面しても何らかの対策も講じなかったのだ。そこに神託が下された。東京電力・福島第一原子力発電所のメルトダウンである。広大な福島県の中央部には人が住めない空白地帯が生じた。4号機に貯蔵されていた使用済み核燃料の爆発があったならば、首都圏4,000万人も疎開しなければならない『日本国家破壊』の最悪コースも待ち構えていたのである(辛くも今現在は最悪の事態は免れているが)。

(つづく)
【児玉 直】

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