<大躍進の期~原発フル稼働>
黄金の時代を迎える、原発ビジネス絶好調
筆者は幾度か下記のように記述したことがある。
「日本には一度だけ、現世の共産主義社会が実現した。その期間は昭和55年(1980年)から平成2年(1990年)までの10年間だ」。この期間内、国民の大半は「自分は中産階級に属している」と酔いしれていた。確かに「差別・不条理」感が薄れ、平等の社会が実現していたのだ。10年間だけあるが―。錯覚でも良いではないか!!民が満足して暮らすことができるなら何も言うことはない。
この10年間、故郷の宮崎に戻ると、至るところで豪邸を建てている光景を目撃した。「いやー、田舎は豊かだなぁ。故郷に戻って再起するか」と決断する矢先に、最愛の妻から拒否された。あえなくUターンを断念したことがある。宮崎の一例であるが、「地方のほうが豊か」ということは全国津々浦々、国民は「安全・安心・満足」の生活を謳歌していた。ある意味ではこの10年間が「日本最良の黄金の時代」と呼べるのではないか!!
黄金時代といわれる昭和50年(1975年)からピークの平成13年(2001年)までの比較をしてみよう!!最大電力の推移でみると623万kWから1,693万kWと2.7倍の伸びを示している。発電所許可出力の推移では675万kWから1,934万kWと2.9倍の伸長率だ。以前と比較して、分母の絶対額が大きくなっている。その驚異的な電力の伸びに対して安定的供給ができたのは原発のフル稼働によるものである。
『昭和50年(1975年):平成13年(2001年)』対比でいえば原発による供給量が56万kWから526万kWと10倍近い伸展になっている(全供給能力電力の27.2%)。火力のそれは463万kWから1,171万kWと2.3倍に増えている。しかし、実際の使用電力は85%前後である(平成13年(2001年)の例を取ると、最大使用電力の推移の場合が1,693万kWに対して、出力最大能力は1,934万kWであるから87.5%の稼働になる)。
事故や定期点検以外では、原発はフル稼働をしている。そうしないと経営効率が無駄だからだ。だから526万kW(原発供給能力)÷1,693万kW(最大消費電力)=31%になる。それでも、これは最大使用電力の設定であるから通常の消費電力数は下限にある。だから実際の原発の電力供給比率は3ポイント位あがるであろう。原発は平穏に稼働していればコストも一定しており経営効率に多大な貢献をする。ここに九電が規模では超企業となり高収益の体質を構築に成功したのである。
<ピークは平成13年(2001年)まで)>
大躍進から絶頂まで昭和50年(1975年)から平成13年(2001年)の26年が続けば、誰しもが我が世の春の永続化が既成の事実になる。原発で繁栄を築いていることは誰しもが理解している。反原発策動に対しては、過敏な反応をするのは必然だ。【我が春の謳歌を妨害する輩は敵、反社会的分子】と映るのだろう。しかし、「この繁栄が未来永劫まで可能」と思い込むのは傲慢も甚だしい。神の激鱗に触れるのは時間の問題であった。
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