――9月に行なわれる民主党の代表選挙では、一波乱ありますか。
川内博史代議士(以下、川内) 「政策変更を迫る」という言葉の意味は、「3党合意を修正し、本来、国民に約束したかたちに戻せ」ということがひとつ。さらに代表選挙では、消費税の問題、原発・エネルギーの問題、米軍との関係、基地問題ですね。そしてTPPという4つが主な政策の論争になります。ここで志を同じくするものたちで政策をしっかり固めて、どなたかその政策を実行してくれる人を代表選挙に立てて、国民の前で論争します。民主党のさまざまな会議というのは、ものすごくクローズな場で行なわれており、国民の皆さまに政策論争が全然見えていないため、ただ単にもめているということしか伝わっていません。
――「それじゃいかん」と言っていたのに、なかなか見えてこないですよね。
川内 代表選挙は党員やサポーターも参加する国民の前で論争できる場です。党を再生する最後のチャンスととらえています。
――ところで、同じ民主党の代議士たちを見ていて、「志を貫く」ということをどのように感じていらっしゃいますか。
川内 やはり政治は一般的な国民のためにあります。だからこそ「国民の生活が第一」という言葉を政権交代のビジョンに掲げたわけです。そこに立脚して、社会保障に名を借りた、実質的な大増税法案にどう対応するかというのは、本来、一人ひとりの国会議員がきちんと判断すれば、可決するはずもない法案であると思うのです。しかし、権力の前にたくさんの仲間が「仕方がない」と、賛成票を投じた。そういう人たちをも小沢さんのグループやわれわれは救わなければならないと思います。
――そのへんで言うと、今の代議士は「個人商店」ですよね。自分の店の経営を考えてしまう。川内代議士は鹿児島県の第1区で"風"が伝わるところだと思いますが。
川内 そうですね。私は、地盤・看板・カバンもなく、鹿児島の自分の選挙区で、想いを共有する方たちと力を合わせてこれまでやってきましたので、これからもそういう支援者の皆さまと力を合わせ、何が何でも日本の政治を官僚の手から国民の手に取り戻します。政権交代の時に約束したことが実現できない、官僚の思惑通りに変えられてしまうのは、民主政治の否定です。あっちゃならんことですから。
――自民党時代は緊迫した関係があったのではないですか。
川内 あったと思います。今は、官僚のエゴがむき出しになっています。
――その判断ができないのでしょうか。大臣になるのが目的で後は官僚に操られるだけと。
川内 日本の官僚の皆さんは優秀ですから、かえって信頼を置きすぎてしまうのだと思います。
――昔は(政治家に)政策通がおられましたよね。官僚たちも従わずにはおられないような。
川内 そうです。そういう政治が総合調整機能をきちんと発揮していくべきです。消費増税問題で言えば、年金保険料や介護保険料は自公政権時代に、法律のなかに自動的に保険料があがっていく仕組みが埋め込まれています。だから年金保険料、介護保険料の負担増、それから扶養控除の廃止にともなう住民税、所得税の増税、それにトドメが消費増税です。2015年、16年にはどんな人でも給料の1カ月分が新たな負担増になります。12月分がなくなるという状況ですから、ものすごい皆さんの生活にダメージを与えるわけです。本来なら政治が「これはやり過ぎだ。消費税は待て」と。
――なぜ、そのようなことが国民に伝わらないのでしょうか。
川内 これは大手のマスコミの皆さんも含めて、あまりにもすべてがタテ割りになっているためです。財務省の記者クラブは財政の記事を書き、厚生労働省の記者クラブは厚生労働の記事を書く。この2つを合わせるとたいへんなことになることに、誰も思いが至っていません。だから、年金保険料、介護保険料、それから扶養控除廃止にともなう住民税・所得税の増税、さらに消費税と、トータルで言っているのはそれこそ、小沢先生であり、鳩山先生であり、われわれぐらいしか言わないわけです。なかなか国民の皆さんに伝わらないと。言われて初めて、皆さんが「えーっ」と驚かれるわけです。ただ、インターネットでじわじわと伝わり、消費増税というのは問題なのじゃないかということになっています。
――解散となれば、そうした問題意識が一気に吹き上がると思いますよ。11月にあると思いますが、その時はどのようにされるのですか。
川内 まだ党員資格停止処分中(2カ月)のため、当面は代表選挙に向けて政策を練り上げていくということをこの7、8月にやっていきます。対立軸をしっかり作り、その政策を実現する人を総理にします。小沢先生と同じく、われわれ鳩山先生を中心とするグループも、大事なのは「国民のために何の政策を実現するのか」を愚直に追及していきます。
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