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観光資源・宇都宮餃子レポート(1)~年間700万人の吸引力
特別取材
2012年8月30日 14:42

 栃木県宇都宮市といえば、餃子が、観光客集客に貢献している。宇都宮餃子は、どのようにして生まれ、どのように発展し、どのようにブランドを確立させていったのか。現在のように、日本でも有数の餃子の名所として成り立つようになったのはなぜか。日常の食である餃子が、どのように観光資源となりえたのかを探る。

<立派な観光資源>
minmin1.jpg 関東圏内で根強い人気を誇る宇都宮餃子。休日ともなれば人気の老舗店の前には、狭い路地に所狭しと餃子ファンたちが列を作っている。「正嗣」、「宇都宮みんみん」などの地元市民からも愛されている専門店となると、ひっきりなしに人が訪れ、その列が閉店まで途切れることはない。夏休みやゴールデンウィークなどの連休には、宇都宮市民だけでなく、近隣からは、埼玉、茨城、東京、千葉、遠くは京都、大阪からも足を伸ばし、食べにくる人がいる。

 年に1回、11月に開催されている「宇都宮餃子祭り」は、例年10万人以上の集客力を持っており、西日本、九州からも餃子ファンが訪れるという。たかが餃子とあなどるなかれ。一過性のブームで終わることなく、宇都宮餃子は、継続的に地方都市の活性に貢献してきた。いまや、宇都宮市の経済にとっても餃子は、なくてはならない存在になっている。

<素材で真っ向勝負の野菜餃子>
 「その餃子は、どんだけうまいのか?」「なぜそんなに集客力があるのか?」確かめるために一路、宇都宮まで足を伸ばした。開店前、午前11時。地元でも評価の高い「宇都宮みんみん」、「正嗣」の店の前には、すでにかなりの長さの行列ができていた。夏休み期間中でもあり、家族連れ、カップルなども並んでいる。

 関東圏からの客が多いようだが、トランクケースを引っ張って列に並んでいる明らかに旅行者然とした人もちらほらと見受けられる。「宇都宮みんみん本店」の列があまりに長すぎたので、狭い路地にある「正嗣」の列に並んだ。食べ歩きが趣味という女性2人組は、「評判を聞いて、埼玉から来ました。福島県の喜多方ラーメンにも並びにいったことがあります。おいしいものがあれば、どこへでも。おいしければ、行列も苦になりません」と笑う。

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 開店前から1時間以上。宇都宮餃子は、野菜餃子だ。神戸の中華街などでは、ミソだれのうまさで勝負しているが、宇都宮餃子のたれは、しょうゆ、酢、ラー油を客が自由にブレンドするようになっており、皮と具と焼き具合と素材のよさを生かし切ることに力を注いでいるようだ。素材のうまさが口に広がる。確かに、並ぶ価値はある。値段も1皿6個で200円前後と安く、近辺に多くの餃子店のある宇都宮は食べ歩きには絶好だ。

 日光、那須高原などの観光資源を持っている栃木県だが、宇都宮市には、それまで吸引力のある観光資源が見当たらなかった。しかし、宇都宮市民の日常食であった餃子を、都市活性化の資源として活用し、地元を挙げて集客力のある観光資源にまで高めた。現在、宇都宮市には内外から年間約1,274万人(2011年度。栃木県産業労働観光部の調査)の観光客が訪れているが、観光協会によると、宇都宮市を訪れる観光客のうち、約55%すなわち約700万人の観光客が、餃子を目的に宇都宮に来ているという。餃子、あなどり難し。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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