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水マネージメント先進地区へ(前)~福岡市水道局
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2012年9月 3日 13:18

 日本におけるアジアの玄関口として名を馳せる福岡市。しかし、148万人の生活を支える都市として地形的に水源に恵まれておらず、1978年に過去に類のない大渇水を経験。その後、水道事業の改革を図り、渇水都市の名前を払拭した。これには、市民が持つ高い節水意識とダム建設などのインフラ整備が福岡市の水道事情を支えている。福岡市の水道事業のこれまでと今後の動向について、福岡市水道局に話を聞いた。

<歴史に残る大渇水を経験>
ohara_1.jpg 「過去に大渇水を経験した福岡市だからこそ節水と水源の確保の両立の意識が芽生えていると思います」と福岡市水道事業管理者の尾原光信氏は福岡市民が水に対する意識の高さについてそう語る。

 もともと福岡地区の地形は他の大都市に比べて1級河川はなく、那珂川などの2級河川が数本あるのみである。加えて高度経済成長の時代に、都市化が急激に加速。それに合わせて水の需要も増加していった。そのため、江川ダムをはじめ、数基のダムを建設し、需要に対応すべき対策が講じられたはずだった。

 しかし、福岡における水道事情が大きく一遍した事態が起こる。1977年7月以降、少雨の状況が続き、78年に入っても降水量は平年の70%以下に落ち込んでいた。だが、例年通りの雨が降ればダムの貯水率は元に戻るだろうと思われ、特別な対策がなされていなかった。

 予想は外れ、78年の3月~5月までの降水量が平年の半分以下となり、ダムの貯水量は減少し続けた。5月には貯水率が20%を切り、福岡市水道局は5月10日に水危機宣言を出して節水の呼びかけを始めた。同15日には渇水対策本部が設置され、同20日以降の21時~翌朝6時までの断水が始まり、この給水制限は287日間におよんだ。78年の福岡大渇水の話である。

<水源確保のための再開発事業行なわれる>
 この経験をもとに福岡市は早急に対策事業に取りかかった。福岡県と連携し、多々良川水系に長谷ダム、猪野ダム、鳴淵ダムの3つのダムを新たに建設。那珂川水系では南畑ダムの湖底を掘削して貯水量を増大させる、ダム再開発事業を実施した。

 このほか広域的な取り組みとして、福岡市を含む都市圏6市7町1企業団1事務組合で構成する「福岡地区水道企業団」によって83年、永年の夢であった筑後川からの導水が流域の住民・関係団体などの理解と協力を得て実現した。
 福岡導水と呼ばれ、久留米市の筑後大堰から取水された水は、大野城市にある牛頸浄水場を経由して市内にも送られている。

 さらに05年には東区奈多にて海水淡水化センター「まみずピア」が稼動を開始し、日本最大となる海水から1日最大5万m3の淡水が供給可能となった。このような広域的かつ効率的な水源確保の努力により、ダム、河川、企業団といずれも1つに偏ることなくバランスが取れている。

 このほか、現在も南畑ダムの上流に渇水対策容量を持つ五ヶ山ダムを建設中で17年の完成を急いでいる。これによりさらに安定した水源の確保が期待される。

(つづく)
【道山 憲一】

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