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観光資源・宇都宮餃子レポート(3)~全国に先駆けグルメで街おこしに成功
特別取材
2012年9月 3日 10:53

<野菜の多い餃子>
gyouza.jpg 行列のできる専門店・正嗣や宇都宮みんみんなど、宇都宮で人気の餃子は新鮮な野菜を使った餃子。ぱりぱりの羽もおいしい。栃木県は、中国の東北部にも似た内陸性の気候で、ニラ、白菜、キャベツ、小麦の産地。材料を調達するのが容易であったことも、宇都宮で餃子が発展した理由。戦後の食糧不足のなか、お年寄りから子どもまで安心して食べることができ、手軽な餃子は、重宝された。貧しい生活のなかでも、栄養価の高い餃子は、食卓に欠かせない一品として、根付いた。

 総務省(当時、総務庁)が87年から開始した「餃子の1世帯当たり年間購入額」では、開始当初から、宇都宮が全国トップをキープし続けてきた。
 脈々と地元に根付いていた日常食。餃子を、地方都市を盛り上げるブランドとして確立させるプロジェクトが始動したのは20年ほど前の話。影が薄い県と言われてきた栃木を観光客に売り込むために、90年ごろから宇都宮市の職員たちが知恵を絞り、餃子で街おこしをするプロジェクトを立ち上げた。「餃子を宇都宮の名物に」とのユニークな取り組みが新聞に取り上げられ、盛り上がりは波及していく。

<運にも恵まれた宇都宮餃子>
 「仕掛けたタイミング、時代背景もよかったのだと思います」と宇都宮餃子会の鈴木氏は語る。いまでこそ、静岡県の富士宮やきそば、大分県中津の唐揚げなど、グルメでの街おこしは、各地で行なわれているが、その当時は、グルメで街おこしに成功した先例はなく、「餃子で宇都宮の活気を取り戻そう」というプランには、当初、誰も耳を貸さなかったという。ましてや餃子。「かっこよくない」「もっとおしゃれなのがいい」「当たり前の食べ物すぎる」などと否定的な意見が続出した。反対派の意見も強く、一時お蔵入りになりかけたが、宇都宮の名物を創出するという特命を受けた当時の宇都宮市役所商業観光課係長、沼尾博行氏が粘り強く奮闘する。

 行政だけだと動きが遅いと感じた沼尾氏は、地元の餃子店に足繁く通い、民間を動かしていく。沼尾氏の宇都宮を盛り上げたいという情熱に、地元の専門店みんみん(現・宇都宮みんみん)の伊藤信夫社長らが賛同し、93年に、餃子を通じて地域活性化を目指す全国でも唯一の"餃子"協同組合「宇都宮餃子会」を結成。「餃子のまち」としての一歩を歩き出す。

 それでも短期間では利益に結び付かない。仮に成功したとしても、すべての店や協力者に均等に見返りがあるとは限らない。沼尾氏、伊藤氏らを中心としたチームはめげずに、官と民が一体となって93年、餃子フェスティバルの開催にこぎつける。自前でそろいのTシャツを作り、餃子会会員のボランティアで運営した初の餃子フェスティバルは、盛況に終わり、市民にも受け入れられる。
 この時点では、しかし、宇都宮餃子が、いまのような集客力を持つに至るとはだれも想像していなかった。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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