＜国政へメスを入れる「国医」＞
　私は、医師として20年来、障がいのある方や高齢者の方たちが厳しい生活を強いられている現場をたくさん見てきました。同時に、やる気のある人たちが「給料が安くて結婚ができない」といった理由で、２、３年で医療界を去っていくという現実も見てきました。

　今、TPPに参加して、介護の分野で外国人を雇用しようという考え方がありますが、自分自身に置き換えて考えた場合、やはり日本語がしっかりと通じる人に介護してもらいたいと思います。日本で医療を志す外国人の方は、とても優秀です。ただし、高齢者は「同じ日本人に看てもらいたい」と言い、一方で、介護で働きたいという日本人の若者もいます。それがマッチングできないのは明らかにおかしい。これは医療に限ったことではありません。外国人労働者に依存するのではなく、働きたい若者に将来の展望が持てる賃金や雇用を保障すべきです。そこにニーズがあるのなら投資をすべきなのです。国の予算が少ないのであれば、その予算配分を見直さないといけないし、天下りで駄々漏れになっているのであればそこを締めないといけません。私が国政を志す原点は、そのような医療現場において肌身で感じてきた問題意識にあります。

　日本はこれから国の枠組みが変わっていく、政治的に大きな局面を迎えます。一方で高齢者の間では、年金や医療費といった社会福祉の問題が深刻化しています。今のままでさらに高齢化が進んでいけば、不安はますます大きくなります。そうした不安を解消していく政治をしていかなければ、経済活動は停滞して日本の内需は縮小の一途をたどります。だからこそ、医療の現場を知っている私が、国政へメスを入れる「国医」として、この変革の場にいなければいけない、「今が動く時だ」と思ったのです。

＜地方と国の役割分担＞
　今の『TPPへの参加』は、まさに"ノーガード"です。2009年の政権交代以来、ブレまくりで弱体化してしまった現政権のままで交渉に参加すれば、必ず不利な条件を押し付けられます。そもそも私は、「医療にはTPPが入って来るべきではない」という考えです。TPPが入ってくれば、たとえばお薬で「ここまでは国民健康保険。それ以外は外資系企業の保険に入っていないともらえない」ということになるおそれもあります。「一部は混合診療でいいじゃないか」と言う人もいますが、弱腰外交では確実にその範囲は広がります。

　たしかに、外交では譲らないといけない場面もあります。日本の安全保障を考えれば、米軍基地はまったく要らないというわけにはいきません。いくら首相が「友愛の海」と言っても、尖閣諸島周辺で、海上保安庁の巡視船に中国船が体当たりしてくるわけです。去年（11年）の航空自衛隊のスクランブル（緊急発進）数は過去最高です。韓国は、竹島周辺で『独島ヨットレース』（独島は竹島の韓国名）という世界大会を開いています。このような現実を踏まえたうえで、外交や安全保障をしっかり考えないといけません。

　そのためにも予算をともなった地方分権をやっていくことが必要です。たとえば「宗像地区のどこに橋をかけるべきか」などは、国にわかるわけがありません。地方のことは地方に任せて、その分、国は地方で解決できない外交・安全保障や年金問題などに集中する。現場をわかる人に各セクションを任せるように国の仕組みも変わっていかないといけません。今の日本の政治には"病巣"がたくさんあります。まず、「政党が変わり、制度も変える」という政治の"根治治療"をしないといけません。

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