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「英断の政治」実現へ、選挙制度再改革(1)~数だけ議員を生む比例
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2012年10月 1日 07:00

 1996年から導入された現在の「小選挙区比例代表並立制」は、「政権交代可能な制度に」という方向は実現したものの、衆議院、参議院でのねじれ国会となってしまい、「決められない政治」を生む結果となった。小選挙区で違憲状態となっている1票の格差の問題も抱えている。今の選挙制度の問題点はどこにあるのか。今の時代に合うように選挙制度をどのようにアップデートしたらいいのか。グローバルな視点で英断できる政治を実現し、強い日本を再構築するには、どのような形が理想なのか――。

 細川護煕内閣で、総理大臣秘書官として制度の導入に関わり、現野田政権でも内閣官房参与を務める成田憲彦駿河台大学教授に聞いた。

<1990年~2000年までの政治>
 1990年代までの政治は、高度経済成長の果実を分配するための政治。日本経済が成長して得た富をうまく全国に分配するためのメカニズムとして、それまでの選挙制度である中選挙区制はうまく機能した。しかし、中選挙区制は、選挙区で同じ党の候補者同士が票を奪い合うという構図が生まれ、派閥政治を育てる要因となった。中選挙区制では、野党は同じ選挙区に候補者を複数立てると共倒れになる可能性があり、候補者を増やせない。政権交代が起こらないという状況が、政治を行き詰まらせる原因となっていた。

1001_narita.jpg 政策中心の政治を実現し、民意をより政治に伝えやすくするために、93年から成田憲彦氏(現・駿河台大学教授)は、細川内閣首席秘書官として選挙制度改革=衆議院小選挙区比例代表並立制の導入に携わった。この改革は、90年代の政治の1つの課題であった政権交代を可能にするという意味でうまくいった。成田駿河台大学教授は「それまで自民党の一党政治で、これを2大政党化させて、政権交代を可能した。しかし、改革の時点では、現在のような、ねじれ国会になり、決められない政治になるのは想定していなかった。比例の使われ方も詰めていなかった」と振り返る。

 当初、並立制の比例代表制の部分は、政党を選ぶことで、民意を政治に伝えることを目的としていた。政党のリーダーは比例で選ばれることを想定していたが、現在、その想定とは違う使われ方をしている。小選挙区制と比例代表制の重複で立候補し、小選挙区で敗れた候補者を復活当選させるという形での使われ方が優先されている。

<チルドレンを生む要因に>
 さらに比例代表制は、ある政党が大勝した時に、重複に続いて登載された小泉チルドレン、小沢チルドレンなどの、多くの新人議員を生む要因ともなった。それらチルドレンと呼ばれた新人議員たちが、政治家として成長し、継続して当選できているかというとそうではない。選挙制度によってチルドレンが生まれたことにより、数だけの議員を生むことになった。それが現行の選挙制度の問題点の1つである。

 成田教授は、「1回きりの国会議員ができてしまう。1回きりの議員が生まれるということはどういうことかというと、在任中、国民にアピールするだけの"きれいごと"を言い、泥をかぶっても実行することで政治の責任を果たすことのない議員が多数いるということ」と語る。それに加え、衆議院、参議院でねじれが生じたことで、「決められない政治」となっていく。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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