10月25日午後、ホテル日航福岡にて、福岡商工会議所取材の経済懇話会が開かれた。会のメインは九州電力社長・瓜生道明氏による「九州電力の取り組みについて」という講義だ。産業と生活のもっとも重要なインフラである電力を支える九州電力は今、岐路に立たされている。
2011年、東日本大震災が日本を襲った。一連の被害のなかでもっとも大きな傷跡を残したのは地震でも津波でもなく、原発だった。福島第一原発でレベル7の過酷事故が発生し、今なお、現地復旧のめどは立っていない。国民は改めて原子力の見えない恐怖を感じることとなった。現在、九州電力が持っている原子力発電所は佐賀県玄海町に4基、鹿児島県薩摩川内市に2基の計6基あるのだが、そのいずれも火が落とされ、再開のめどが立っていない。そんなところに九州電力による、いわゆる「やらせメール」問題も起こり、市民はますます九州電力へ不信を募らせることとなった。そんな現状を瓜生社長が語ったのである。
「信頼回復、という言葉を使っていましたが、はたして回復させるほど以前は信頼されていたのだろうか、というところから疑問に持つようになりました。そこで、『信頼再構築』するための取り組みを開始しました」
企業活動を透明化し、対話を通じて信頼を得ていく。また、コンプライアンスを強化し、企業の健全化に努めていく。こういった地道な取り組みによって信頼を積み上げていくのだという。ただ、ここまでは本セミナーの序章にすぎない。本題は原発再稼働と電気料金値上げにあったのである。
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