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ボーダレス化が育む流通業界のビジネスチャンス(3)
流通
2013年2月26日 07:00

 価格競争に対応できない小売業の再編、淘汰が加速している。一方で時代の変化をチャンス新たなモデルが生まれ始めている。

<市場は乗るものでなく創るもの>
 樋渡市長は「市場は乗るものでなく創るもの」と断言する。インターネット通販に先駆けてレモングラスの特産化に取り組んでいる。ハーブの一種で文字通りレモンの成分を含む。ハーブティ以外にも料理や香料など幅広い用途に活用される。

 当初、周囲からは大反対にあったが、休耕田などを積極的に活用し現在は年間5億円の産業に育成した。新たに進出するシンガポールの人口は約300万人に過ぎないが、「ASEANの中心」。境界が急速に消滅しているとして東南アジア全域を視野に入れる。先の発言は人口約5万人の地方自治体経営で体感したものだ。「武雄がやれば他は言い訳できない」という樋渡市長は自治体の首長に結果で示すことを突きつける。

FB_1.jpg 武雄市の取り組みは、樋渡市長を稀有な経営者と見てしまうこともできるが、自治体が経営を本気でサポートする時代に入ったことを示す。「F&B良品」へ3番目に参入した陸前高田市の戸羽太市長は「かつては行政が民間の仕事を手伝うとは何事だ、という空気があった」と振り返る。

 現在は外部の企業を積極的に呼び込む一方で、地元企業の宣伝を積極的に行なう。被災した菓子メーカーのせんべいのラベルは自らしたためた。「自分にできることなら何でもする」と公言する。被災地に限らず過疎化・高齢化は日本全域を覆いつつある。地方自治体は必死だ。中央は財政を含めて構う余裕がなくなった。「逆に言えば前例のないことをやりやすい時代になった」(樋渡市長)。議会通過の手続きなど、民間より意思決定の時間を要するという課題はある。

 しかし、10の自治体がインターネット通販連合参加に費やした時間は1年あまり。いずれのリーダーも決断力に秀でるとはいえ、従来の地方自治体運営ではあり得ないスピード感だ。120万都市・福岡市の人口はいまだに人口が増え続けている。数少ない恵まれた環境だが、「言い訳できない」市政でもある。福岡市だからできる中小企業支援策が打てる。あるいは、企業支援に積極的な地方自治体に出ることもできる。

 SNSの普及は、必ずしも大消費地に拠点を置く必要をなくした。武雄市はベンチャー企業向けに100億円ファンドを発足させてベンチャー企業を助成することを決めた。実現すれば全国から優秀な企業・人材が殺到することが予想される。こうした地方都市に出ていくことも選択肢となる。自治体との連携は独自の信頼感を背景として新たなビジネスチャンスを育もうとしている。

(つづく)
【鹿島 譲二】

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