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正しい政治経済を問う(3)~脱サラして政治家の道を歩む古川裕紀・神埼市議
連載コラム
2013年6月18日 14:12

<政治家の名前は知らなくても、政治がうまく回っている世の中をつくりたい>
 「故郷に恩返しをしたい」――。古川裕紀・神埼市議会議員が東京での11年間に及ぶサラリーマン生活を捨て、故郷神埼市に戻ってきたのは2009年9月28日。町村合併後、初めて行なわれた市議会議員選挙の半年前のことだった。地元佐賀大学を卒業後、東京で就職。機械工学の免震技術に関するエンジニアとして中小企業と研究機関で勤務。家庭を持ち、順調な「技術屋人生」を送っていた頃、仕事を通じ「公共」というものを強く意識するようになった。

 彼にとっての「公共」とは故郷のことだった。「地元で起業しようか」など思いを巡らせながらも、なかなか行動に移せずにいた。そのような折、インターネットで自民党政経塾の塾生募集が目に留まった。「あ、この世界だ!」と直感し、すぐに応募。サラリーマン生活のかたわら、その後2年間、月2回永田町の自民党本部に通うようになる。「故郷のために俺がやらなきゃいけない」という根拠のない自信と「故郷でチャランポランに過ごしてきた」という自責の念からすべてが転がっていった。

 神埼市は06年3月、神埼町、千代田町、脊振村が合併して誕生した人口約3万2,000人の佐賀県東部のまち。合併後初の市議会議員選挙を控えていた。永田町に通いながら、「初の全市1区での市議選は混乱するだろう。この混乱に乗じて当選する以外にない」と確信する。「永田町に通うようになって、自分が故郷で活躍している姿がハッキリとイメージできた」と振り返る。

 帰郷後、地元での挨拶回りを始めた。両親は市議選出馬に反対。市民の反応も「泡沫候補が来た」、「今回は顔見せだろう。4年後頑張れよ」という冷ややかなものだったが、「そこは強引に話を進めていった」(古川氏)。結果、見事当選を果たす。
 当初、政策として訴えようとしたのは「教育」。子どもが通っていた横浜市の革新的な教育に対し、強い疑問を感じていたからだった。ところが、故郷に戻ってみると、昔ながらの教育が残っていた。「振り上げた拳をどう下ろそうか、正直戸惑った」(古川氏)。そこで、横浜市のような教育にならないよう「これぐらいいいだろう」という教育の綻びを一つひとつ潰していく作戦に切り替えた。今議会では、議場での国旗の掲揚について取り上げている。市議としての3年間、ふるさとに誇りと愛着を持てる「教育」と「情報発信」に費やしてきた。

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<龍馬プロジェクトで気合を再確認>
 神崎市議とは別に、龍馬プロジェクト(以下、龍馬P)九州ブロック長という顔も持つ。龍馬Pとは、「地方から日本を変える」をスローガンにした地方議員を中心としたネットワークだ。自民党政経塾に通っていた頃、現龍馬P会長の神谷宗幣・吹田市議(当時)と出会った。その後交流を重ね、縁あって創設に関わったメンバーの1人として龍馬Pの活動を続けている。「神谷氏との最初の会話は喧嘩腰だった」と笑う。「龍馬Pのメンバーになって自分が変わったということはない。ただ、気合の入った他のメンバーと同じような気持ちが自分のなかにもガッチリあることを改めて確認できた」(古川氏)。龍馬Pに関するエピソードがある。初当選直後、神谷氏から「東京でキャラバン(メンバー勧誘活動)をやるので参加してください」という依頼を受ける。一旦断るが、「圧倒的な行動力」という龍馬Pの合い言葉を思い出し、すぐに東京に赴いたと言う。

 龍馬Pには「国是十則」という基本方針のようなものがある。

龍馬P・国是十則
(1)皇室 元首である天皇と、祭祀を司る皇室を敬い、世界最古の皇統を守り続ける。
(2)憲法 日本の歴史・伝統・文化を重んじた新しい憲法を制定する。
(3)教育 先人が紡いだ歴史に感謝し、個人の独立自尊の精神を育む国民教育を行う。
(4)国防 国家戦略府・国防軍・情報局を創設し、国の主権と国民の生命・財産を守る。
(5)資源 原子力発電の軟着陸と食の安全保障を実現する。
(6)政治 政党を近代化し、憲政の常道を守り、民意を受けた強い政治家を輩出する仕組みをつくる。
(7)経済 国民が仕事と希望を掴める公益経済の仕組みを確立する。
(8)国土 自然への畏敬の念を持ちつつ、国土を強靭化し、地方を活性化する。
(9)安心 努力したものが報われる公正な社会保障制度を確立する。
(10)暮らし 子の誕生を喜び、長寿を楽しめる、感謝と絆でつながる社会をつくる。

0618_isiki_b.jpg 「十則すべてを一気にやることは難しいが、それぞれのメンバーが所属する自治体ができることを一つひとつ積み重ねていくことが大事だ」――。例えば(3)の教育について、子どもの規範意識の向上のため、「議会で会津藩の『什の掟』のようなものを作ろう!」と提言。「規範意識向上バッジ」も製作済みで、「もうすぐ発表できる」と言う。大人も巻き込み、市全体の規範意識へと拡げていく考えだ。
 「政治家は本来裏方。市長の名前も議長の名前も知らないが、政治はうまく回っているという世の中をつくりたい。ただ、納得して任せるのと思考停止で任せるのとはまったく違う。政治家と住民の役割分担というものに気づいてもらうため、情報発信などの努力を続けていく」(古川氏)。「政治を変える」ということは、住民の意識を変えることでもあるのだろう。

【大石 恭正】

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