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SNSI中田安彦レポート

参院選後の日本を動かす黒幕、マイケル・J・グリーンという人物(1)
SNSI中田安彦レポート
2013年7月24日 07:00
副島国家戦略研究所(SNSI)研究員 中田安彦

 参議院選挙が終わった。結果は中道左派の大敗北であり、日本の政治は、自民党という宗教右派的な勢力と経団連を代表する財界勢力、そして官僚勢力を支持母体とした「利権連合体」となって圧倒的な存在感を示すことになった。そこで、今回は私が最も専門としている「アメリカの知日派(ジャパン・ハンドラーズ)」が、参院選後の日本をどのように再編していこうとしているかという点について述べたい。

sora_29.jpg ご存じない人のために説明しておくと、日本という国はアメリカの同盟国とは言いながらも、軍事力の差や諜報力の差を踏まえると、実際は「従属国」(クライアント・ステイト)というにふさわしい。日本は独立国ではなく、アメリカの思惑によって動かされてきた属国なのである。これは、私の師匠である副島隆彦だけではなく、オーストラリア人の大学教授であるガヴァン・マコーマックや、果てはアメリカのエスタブリッシュメントのズビグニュー・ブレジンスキー元米大統領国家安全保障担当補佐官も長年指摘してきたイデオロギーの左右を問わず通用する世界の「常識」なのだ。

 知らぬは日本人ばかりなりといったところだが、それでも最近はタクシー運転手ですら「日本はアメリカの属国ですからね」とボヤく。庶民レベルではすでに浸透している認識であるといってよい。この事実を無視しているのは大手メディアだけである。

 覇権国の周辺国が属国になってきた例は枚挙にいとまがない。例えば、大英帝国の支配下にあったインドもそうだ。インドには英国の植民地行政官が派遣されており、そのイギリスの「知印派」は独特の知的階層を構成してきた。それと同じようなことが、サンフランシスコ講和条約とその抱き合わせとしての米日安全保障条約によって、名目上独立した日本においても行なわれている。つまり、日本の統治機構、なかんずく、外交政策においては、この支配体制が顕著である。内閣のもとに外務省があって、それが時の内閣の指揮監督を受けて外交方針を決定するのではなく、実際は内閣は外務省の助言に基づいて外交を行なっており、その外務省を指揮監督するのが同盟国アメリカの国務省という構図になる。

 その米国務省において日本を担当するのが東アジア担当国務次官補という役職であり、あるいはホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長といった役職である。これらの官職を経験した国務省の官僚たちが民間に天下って、シンクタンクなどで財界の支援を受けながら日本研究を行なっている。逆もまた真なりで、シンクタンクの知日派が官職に抜擢される場合もある。これが俗にいう「回転ドア」というやつである。

 今回、皆さんに紹介するのは、そのような回転ドアを行ったり来たりしている、マイケル・ジョナサン・グリーンという人物である。グリーンは現在、ワシントンにある米戦略国際問題研究所(CSIS)というシンクタンクの日本部長をしているが、かつてはブッシュ政権においてNSCアジア上級部長を経験していたほか、米外交問題評議会の研究員でもあった。

 なぜこのグリーンが、ここでとくに紹介するほど重要なのかというと、グリーンは現在日本に滞在中であり、お盆頃まで日本の有識者と参院選後の日本の安全保障について議論していくということが、すでに報道されているからである。そして、参院選に圧勝した自民党政権は憲法改正まで視野に入れながら、安倍首相が参院選後の記者会見で明らかにしたように、「集団的自衛権の解禁」にまで踏み込んでいくと思われる。さらに、グリーンがかつて役職を務めていたNSCと同格の国家安全保障会議(日本版NSC)を、日本国内においても設置する動きが急加速している。

 実は、集団的自衛権とNSCの設置はグリーンが、かねてから日本政府に要求してきた内容である。それ以外にも他のジャパン・ハンドラーズであるリチャード・アーミテージやジョゼフ・ナイも「アーミテージレポート」という形で主に安全保障問題に視野を定めた対日戦略案を去年の終戦記念日に発表しているが、同レポートの発行元もグリーンの所属するCSISである。

 グリーンは、参院選直前に来日して、自民党の勉強会にも出席している。グリーンは自民党の勉強会では、安全保障問題とTPP推進の2つを大きく主張していた。

(つづく)

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<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。


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