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自民プラス維新連合で憲法9条改正こそ本道~特別寄稿・藤井厳喜氏
政治
2013年8月 8日 11:32
国際政治学者 藤井 厳喜

 7月の参院選後、野党陣営でいくつかの相矛盾した動きが現れている。1つは、反自民の野党勢力を結集し、自民党への対抗軸となる政治勢力を形成しようという動きである。すでに、日本維新の会、民主党、みんなの党などの若手の勉強会が発足しつつある。

fujii.jpg ところが、野党結集に日本維新の会が合流するならば、それは同党誕生の大義に反する事になるのではないだろうか。石原・平沼を中心とする太陽の党と、橋下徹を中心とする元の大阪維新の会とは、その基本的主張や政策の方向性において、かなり異なる政治的グループであった。その2つが統一した大義は、何と言っても憲法を改正し、現状維持的な官僚制度の停滞を打破する事であったはずだ。とくに、石原・平沼系の人々は、憲法9条改正こそ大義であり、そのためにこそ、大阪維新の会系の人々と手を組んだとの意識が濃厚である。
 大阪維新の会系の改憲論は、そもそも9条改正よりは、地方自治重視、道州制導入、首相公選論などにあり、かなりの隔たりがあった。しかし9条改正という大義では最低限、両者は納得していたはずである。

 現在の与党は自民党+公明党であるが、公明党が9条改憲に反対している事は、天下周知の事実である。であるとすれば、自公連立政権が存在する限り、憲法9条改正はあり得ないことになる。憲法9条を改正してこそ、戦後政治の総決算が初めて可能なのであり、いわゆる「戦後レジーム」に終止符を打つことができる。戦後レジームとは、日本が独立国家ではなく、自主防衛という国家の基本的機能を欠き、第2次大戦の戦勝国に服従するような体制であった。

 維新の会の存在理由は、自民党を外部から補佐し、時にはリードする改憲勢力の中心となることであったはずだ。つまり、憲法改正に公明党が反対し、自公連立が崩れるならば、維新の会がそれにとって代わり、自民+維新の会の連立政権によって憲法改正を主導すること、これこそが、日本政治にとって最も望ましい形であり、かつ戦後レジームを終焉せしめる唯一の現実的なシナリオである。

 しかし、元の大阪維新の会系統の人々が、自民党に対抗する野党連合の方向に動くならば、これは正に維新の会の存在理由そのものを裏切ることになる。であるとすれば、元来、2つの異なった方向性をもっていた元「太陽の党」グループと、元「大阪維新の会」グループとは、分裂してこそしかるべきではないか。そうでなければ、全く異なる政治哲学をもった2つのグループが、同一政党内に同居している事になる。これこそまさに野合に他ならない。尖閣列島問題を見ても、竹島問題を見ても、いわゆる「慰安婦問題」に関しても、いわゆる「南京虐殺問題」に関しても、日本国民が憲法9条を改正し、自主国防の気概を確立しなければ、とても解決できるものではない。大国に服従し、媚びへつらい、おもねるような態度では、領土が失われるばかりではなく、国民の名誉も又、経済的繁栄も、決して手に入れる事はできない。

 アメリカは未だに世界一の大国ではあるが、その軍事的・経済的力量は徐々に衰退しつつある。日本の直ぐ西横には、共産党一党独裁のチャイナという帝国主義国家が着々とその領土拡張と勢力圏拡張を進めている。日本は自由で民主的なアジアを守る盟主となり、東南アジア諸国やインドと手を携えて、対チャイナ包囲網の中核にならなければならない。米中の国益が明らかに対立しているにも関わらず、米オバマ政権の対応は極めて軟弱であり腰が引けている。オバマ政権に積極的に働きかけ、対中包囲網の中軸の1つになるように、アメリカを指導する事こそ、日本の本来の役割である。

 そのような外交を行なうためには、本来の改憲勢力の結集が不可欠である。自民党内にも改憲反対派は多いし、公然たる親中派も多数存在する。これらの反改憲勢力を牽制するためにも、維新の会の存在は有力な刺激剤であった。しかし、憲法9条改正で、統一行動が出来ないならば、維新の会にとっては、分裂する事こそが、正しい選択であるはずだ。そして自民党内の真の改憲派と合流して、戦後政治の総決算を目指すべきである。

 米中新冷戦の実態については、今年3月に上梓した拙著『米中新冷戦、どうする日本』を参照して頂きたい。最新の拙著は、7月下旬に上梓した『アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門』である。アングラ経済という角度から見ると、何故、世界中の国々が、先進国も含め、税収不足に陥っているかのからくりがよく理解できる。要するに富裕層や、巨大な利益を上げる多国籍企業が税金を逃れ、富をタックスヘイブンに蓄積してしまうが故に、先進国も低開発国も皆、税収不足に陥ってしまっているのだ。こういった世界経済の構造的欠陥は、今や正されつつある。しかしこういったアングラマネーの国際的規制を進めるためにも、日本はいち早く戦後レジームを脱却し、国家としての正常な機能を取り戻さなければならない。


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