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国会開会、失職確実?首を洗って待つが良い(後)~国権を行使する資格はない
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2013年8月 6日 07:00

 「1人1票」に照らして、「0.21票」はおかしい。しかし、「定数是正、選挙区割りは難しい。2倍未満にするのが関の山だろう」と思っていないだろうか。筆者も同じような錯覚にとらわれていた。マス・メディアの世界に身を置きながら、「1票の格差」(1人1票)の選挙無効訴訟を担当しなかったことを言い訳にして、昨年12月まで不勉強だったと反省している。ところが、そんなことはないことがわかった。

<人口比例の選挙区割りは簡単だ>
 「1人1票実現国民会議」によれば、米国連邦地方裁判所はペンシルバニア州の19の小選挙区の選挙区間の「最大人口差」19人を違憲として、3週間以内に選挙区割りの法改正案を提出するように選挙管理員会に命じた(2002年4月8日)。同州議会は、9日後に最大人口差1人の法改正を行なった。人口最大の選挙区は64万6,372人、最少は64万6,371人。改正後の選挙区ごとの人口差は最大1人しかない。
 要は、単純明快、人口比例の算術計算をきっちりやればいいだけだ。参議院選挙の場合、都道府県単位にとらわれていては、その実現が困難だから、最高裁は「都道府県単位にする憲法上の要請は見出せない」という基準を示している。「1人1票」(人口比例)は憲法上の要請である。党利党略をからめず、単純に人口比例の選挙区割りをすればいいだけの話だ。

kokkai2.jpg 人口比例選挙というと、衆院選挙の場合「小選挙区制度は憲法違反だ」と主張する政党・政治家がいるから、釘を刺しておきたい。選挙制度の問題と、人口比例選挙の問題は、別問題だ。今求められているのは、「1人1票」の実現だ。選挙制度の抜本改革はその後の議論である。これらをごちゃまぜにしたら、人口比例の選挙区割りは永遠といっていいほど困難だ。米国のペンシルバニア州のように、小選挙区でも人口比例選挙の区割りは可能だ。しかも、人口差はわずか1人。日本の場合、今回の参院選挙で、最少の選挙区と最大の選挙区の有権者数の差は、90万人を超える。なんと絶望的な差ではないか。なぜ、日本ではできないのか。

<小学生でもわかる「多数決の民主主義」>
 日本国憲法が国民主権を謳い、「日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」としていることは、誰もが知っている、と思う。
 升永弁護士らは、国会議員の多数決が、主権者の多数決と一致しなければいけないと強調する。代表者(国会議員)に主権があるわけではなく、国民に主権があるから、当たり前のことだ。正当な選挙で代表者が選ばれず、国会議員の多数意見と国民の多数意見が一致しなければ、国民主権ではなく、国会議員主権になってしまい、民主主義は成り立たない。
 升永弁護士らは、「正当な選挙が、国民主権国家の統治の仕組みの命綱だ」として、人口比例選挙の保障が必要だと指摘する。

 伊藤真弁護士は提訴にあたっての記者会見で、こう述べた。
 「あなたの『清き1票』は実は0.何票ですか?驚くことに、鳥取県を1票とすると、北海道は、0.21しかない。茶番の選挙が行なわれた。有権者のたった35%が今回の選挙区選挙の過半数の国会議員を選び出している。国民の少数派が多数派を選んでいる。本来、私たち国民が主権者だが、主権者国民の多数決でこの国が運営されていないということだ。この選挙に基づく国会に民主的正当性がない」。

<民主的正当性がない茶番の選挙>
 伊藤弁護士は、「あらゆる国会における権力の行使に民主的正当性がない。代表者としての資格を持っていない人が国会で権力行使していること自体が大問題だ」と指摘。「憲法が何を要請しているか国会議員は判決を読んでいただいて、今の状態がどれだけひどい状況なのか、主権者国民を愚弄した状態での選挙が行なわれてしまったのか認識してもらいたい」と求めた。
 ここまで言われて、選挙区選出の参院議員は国権の行使に携われるのだろうか。安定多数を占め「ねじれ」を解消したとはしゃいでいる政党も、12年ぶりに議席を得たと喜んでいる政党も、憲法違反の是正を優先してもらいたい。世論調査で、92%は「1票の格差は、できるだけ小さくすべきだ」と答えている(朝日新聞2013年5月2日)。今こそ「1人1票」を実現せよ。

(了)
【山本 弘之】

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