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参議院のお騒がせ男・山本太郎とアントニオ猪木
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2013年11月11日 10:21

 戦前は貴族院で、教科書に「良識の府」と書かれている参議院が現在、しっちゃかめっちゃかの状態になっている。10月31日の秋の園遊会で山本太郎氏が天皇陛下に手紙を渡し、11月2日にアントニオ猪木氏が北朝鮮に渡航した。山本氏の行為は過去に前例がなく、猪木氏の行為は参院議院運営委員会が渡航不許可としたことに反するものだ。

 天皇陛下主催の園遊会は、国会議員なら全員参加できるものではない。事前に希望者が募られ、新人が優先して割り当てられる。山本氏の場合、今年7月の参院選で当選したばかりだったので、その枠に入った。
 皇室関係の行事は、こと細かく約束ごとが決められている。服装は男性ならモーニングか羽織と袴、女性なら色留袖か訪問着、あるいはアフタヌーンドレスを着用しなくてはならない。山本氏の場合、モーニングを着用していたようなので、この点は合格している。
 そして件の手紙だが、巻紙に毛筆で書くという本格的なもの。ただし容器に入れたわけではないので、この点はマナー違反だ。
 国民が王族にものを渡すということは、海外では時折見かける。たとえば故ダイアナ元英国妃は、小さな子どもから花束やお菓子をもらうこともあった。しかし、日本の皇室は警備の厳しさが違う。しかも天皇陛下ともなれば、いっそう厳格になる。
 だが、実際のところ、園遊会では天皇陛下はさまざまな人から声をかけられることがあり、警備はいちいちチェックできない。そんな隙間をぬって起こったのが、今回の「直訴事件」だ。
 「あれは、山本氏が1人で考えたことではない。誰かが入れ知恵したに違いない」。
 そんな声が漏れ聞こえている。たとえば巻紙にしたためることなどは、およそ山本氏が発想しそうにないとのことだ。

 そういえば、他にも疑問は尽きない。まずは手紙の内容が不明の点だ。山本氏は週明けの5日に記者会見を行なったが、とうとうその内容については明かさなかった。
 代わりに配布されたのが、同日の参院内閣委員会で山本氏が初質問した内容だった。
 「内閣委員会の質問なんか、この問題とは何も関係ない。山本氏は質問を我々にPRしろと言いたいのか。これでは完全な売名行為だ」。
 参加した記者からは不満の声が漏れた。

kokkai2.jpg もっとも苦慮したのは参院議運だろう。国会は規則と前例とで動くものだ。だが、山本氏の「直訴」行為は規則や法律で禁止されているものではなく、また前例もないので判断の決め手がないのだ。とりあえず議運は山本氏に自らの進退を決することを求めてみた。案の定、山本氏は「67万人の東京の有権者との約束があるから」と辞職するつもりがないと返答した。

 だが、世間はそれを許さない。「67万人の東京の有権者と『天皇陛下に陳情する』と約束したのか。そもそも国会議員は全国民の代表と憲法にも明確に書かれている。投票してくれた人だけのために働くものではない。不見識だ」などと厳しい批判が出ている。
 本人は「天皇陛下を政治利用していない」と言いつつ、手紙の内容を公開することは「陛下を政治に巻き込む」と意味の通らないことを述べていることも、理解しがたい点だ。
 とりあえず参院議運は山本氏に対し、苦肉の策を講じた。「議長による厳重注意と皇室行事への参加自粛」を申しつけたのだ。山本氏にとって痛くもかゆくもないが。

 さて、山本氏と同じく「参院のお騒がせ男」となったアントニオ猪木氏だが、こちらは議運の渡航不許可決定を無視した行為で、懲罰の対象になる。そんな猪木氏にまっさきに議員辞職の声が上がったのは、なんと日本維新の会のなかからだという。
 猪木氏が訪朝を発表した直後、ある幹部は「あんなの、議員辞職させちまえ!」と叫んでいる。実はその背景に前述した山本氏の件がある。山本氏を嫌いなこの幹部は、どうにかして山本氏を議員辞職させたいのだ。そのためには議運の決定に違反し、山本氏以上に「罪が重い」猪木氏を辞職させる必要がある。

 そもそも猪木氏は昔から北朝鮮にシンパシーを感じており、他の日本維新の会のメンバーと基本的な考えが異なっている。平沼赳夫同党代表代行に拉致議連への参加を求められたときも、はっきりと断った。
 そうした行為に党内から不満の声が湧き上がっているが、猪木氏を国政に復帰させた石原慎太郎同党共同代表にはもうそれを止める力はない。昨年12年の衆院選と今年7月の参院選で街宣車の上に上れないほど体力の低下を見せ、先日とうとうエレベーターを設置するなど、自宅をバリアフリーに改装したほどだ。
 唯一、中山恭子同党拉致問題対策委員長が「(北朝鮮へのアクセスは)いろんなルートがあっていいのではないでしょうか」と述べた。中山氏は第一次安倍政権時に拉致担当補佐官を務め、拉致被害者に信任も厚い。中山氏の一言で、党内の猪木氏への批判は一応は弱まった。しかし、今後の火ダネは残したままだ。

 7日夜、猪木氏は中国経由で羽田に降り立った。その意気揚々とした様子は、後ろめたさをみじんも感じさせなかった。
 「山本太郎にしろ、猪木にしろ、参院は地に落ちた」。
 昔を知る永田町関係者は嘆いている。

【永田 薫】


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