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在日大使が語るカンボジアの現状と九州への期待(後)
特別取材
2013年8月15日 07:00

<長きにわたる友好関係で国交樹立60周年迎える>
 ――今年(2013年)は日本とカンボジアの国交樹立60周年を迎える記念すべき年です。この60年間、カンボジアと日本の間ではどのような関係が続いていたのでしょうか。

 ハオ・モニラット大使(以下、ハオ大使) カンボジアと日本は、歴史的に見ても長い間友好関係が続いています。カンボジアは戦後復興に向けてもがく日本を見て、1954年に戦後賠償の権利を放棄しました。両国は友好と連帯感、そして共通の考えを持っていると互いに認識していました。それで日本は90年代初めから、紛争で苦しんでいたカンボジアの復興と再建のために継続的な協力をしてくれました。近年のカンボジアにおける社会経済発展は、日本の援助なしでは考えられません。ここにカンボジア政府と国民を代表して、これまでと、そしてこれからも続く日本からの支援に心から感謝を申し上げます。

 今年、大使館は大阪、名古屋、札幌そして福岡の領事館と協力して、たくさんの文化交流イベントを予定しています。そして、今年12月に東京でASEAN日本特別首脳会議が開催されます。カンボジアからフン・セン首相が来日されることを楽しみにしています。

 ――いよいよ本日、西日本・カンボジア友好協会がスタートします。協会設立について、どのように感じていらっしゃいますか。

HOR2.jpg ハオ大使 なんとも言いようがないほど、喜ばしいことですね。協会設立が国交樹立60周年と重なったことも二重の喜びです。協会の会員名簿を見ても大規模な組織となっていますし、かなり活発に交流できるとたいへん期待しています。とくに九州地区からたくさんの企業に西日本・カンボジア友好協会へ入会していただき、たいへんありがたいと思っておりますし、心強いばかりです。

 今回の協会設立については、非常にタイムリーな出来事だと感じています。10年に3,500万ドルだった日本からの投資額が12年には3億ドルを超えるなど、カンボジアへの関心が非常に大きくなっているからです。さらに、来年カンボジアで開業予定のイオンモールのテナント30社のうち15社が福岡の企業であることを知り、大変嬉しく思います。そして、そのうち数社が、今回新しく設立された協会の会員であることも喜ばしいことです。

 ――伸び代があるということは、都市と地方の格差も大きいということでしょうか。

 ハオ大使 カンボジア政府は、平均6%の経済成長で貧困率を1%減らすことができると試算しています。貧困率は92年の50%から著しく低下し、12年には約20%まで改善されています。このままでいけば、15年までに貧困や飢餓を半減させようというミレニアム開発目標(MDGs)も十分に達成可能です。
 経済活動のほとんどが都市部に集中していることは、すべての発展途上国に共通しています。そのような状況下で政府は、主要都市と地方を結ぶために、多くの道路や橋を建設することに力を注ぎました。それが新しい物流を生み、市場の開拓にもつながったわけです。それと同時に、政府の政策では20年までにすべての都市と田舎で電力供給できるように、さらに30年までに全世帯の70%まで供給できるよう普及させようと考えています。

<九州地域との活発な交易再開を望む>
 ――では、地雷撤去の進捗状況はどうでしょうか。

 ハオ大使 13年まで、カンボジアは21年という長い間、地雷撤去と不発弾処理に追われてきました。日本を含めた協力国の支援を受け、900km2もの土地をきれいに処理できました。きれいになったところでは、農業など経済発展のために使用されています。おかげで地雷や不発弾での被害者は、96年の4,000人から12年は200人以下まで減少しました。
 しかしながら、いまだ場所によっては地雷や不発弾の埋まっていると疑われる土地もあり、推定で1,700 km2あります。すべてを撤去するまではもう少し時間が必要です。

 ですが、1つはっきりさせておきたいことがあります。危険な地域は国境付近と元紛争地帯だけであることです。決して全域に地雷が散らばっているわけではありません。観光地や生活圏内に、危険な場所はまったくありません。カンボジアを訪れる観光客は増え続けています。それを一目でも見れば、日本の皆さまも安心するでしょう。カンボジアでの安全を私は保証いたします。

 ――では最後に、福岡を中心とした九州の経済界に一言お願いします。

 ハオ大使 歴史的に見ると、九州地区は古くから繁栄していた東南アジアとの交易の場所でした。私は、過去のように活発な交易が九州地域と再開することを望んでいますし、今回、皆さま方へその希望を託しました。カンボジアは農業、インフラ産業、製造業や観光業に至るまで、まだまだたくさんの可能性が詰まっています。
 最後に、我々はいつでもどんな投資でも歓迎します。ただし早いもの順ですから、少しでも興味のある企業はお急ぎください。

(了)
【文・構成:東城 洋平】

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